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2021年10月25日

自動車リース 中途解約容易な個人向け新プラン続々、需要取り込みへ

自動車リース商品で中途解約を容易にする個人向けプランが広がり始めた。DeNA SOMPOカーライフ(DSC、久保田和史社長、東京都渋谷区)は、契約から一定期間後に中途解約金なしで車両を返却できるオプションを今月下旬に発売する。三菱オートリース(中野智社長、東京都港区)も転勤や結婚時に解約金を免除するプランの販売を強化する。

自動車メーカーも含め、整備費や税金などを含んだ定額利用サービスの投入が増えている。新たな差別化策として解約の柔軟性に着目する動きが目立ち始めた。

DSCは、月額のオプション料を追加で払えば、契約期間に応じて2~7年で無償解約できるようにする。例えば契約期間5年の場合は、契約開始から2年を経過した時点で解約が可能になり、中途解約金や解約清算金が免除になる。オプション料は月額1100円(消費税込み)からとなる見込みだ。

個人向け自動車リースは、中途解約を原則不可能とするケースが多い。事故で全損となった場合などリース会社が認めた場合にのみ解約できるという仕組みが少なくない。こうした中、自動車メーカー系の商品などがサブスクリプション型のサービスとして打ち出すプランを中心に、中途解約の条件を緩和する動きが増えている。

トヨタ自動車のサブスクサービス「KINTO(キント)」は、海外転勤や免許返納などの時に解約金不要にしている。これ以外の理由の場合には、契約年数と経過月数などに応じてあらかじめ中途解約金を明示。2020年5月には、中途解約金よりも割安な手数料で乗り替えできる「のりかえGO」も始め、ユーザーの長期契約への不安感を抑える。

ホンダも5月に発売した定額利用サービスの「楽らくまるごとプラン」で、中途解約金を払えば、いつでも解約、乗り替えできる点をアピールしている。

こうした中、自動車リース専業会社の動きも出てきた。三菱オートリースは、中途解約金免除の範囲を広げた新プラン「ピタクル」を6月に発売した。キント同様に海外転勤や免許返納を対象にしたほか、都道府県を越える転居や結婚、長期病気療養なども加えることで、従来よりも気軽にリースを選択できるようにしたのが特徴だ。

サブスクサービスなどの個人向け自動車リースは、自動車リース市場の中でも成長が著しい。新規契約件数の統計はないものの、扱い事業者数の拡大によって右肩上がりで伸びている状況だ。日本自動車リース協会連合会(JALA)が調べた今年3月末の個人リース車両保有台数(JALA会員分)は前年比17%増の約43万8千台となり、1年で6万3千台増えた。

今後、安全装備のさらなる高度化、車両の電動化によって車両価格の上昇は避けられず、ユーザーが自動車を手にしやすい定額利用サービスがさらに普及していく可能性がある。

契約期間や乗り替えのしやすさ、周辺サービスなどあらゆる部分で差別化を狙った動きが加速しそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞10月21日掲載