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自動車産業インフォメーション

2021年10月22日

自動車メーカー、広がる「定年65歳」 労働人口減少でシニア世代活躍後押し

自動車メーカーがシニア人材の活用を本格化する。マツダは2022年度以降、定年退職の年齢を60歳から65歳に段階的に引き上げることを決めた。すでにホンダと日野自動車は65歳に引き上げている。自動車産業でも少子化などで労働人口の減少が見込まれる中、シニア人材が長く働ける制度の整備が進む。

一方で、シニアを対象とした副業制度やセカンドキャリア支援制度を充実する動きもある。柔軟な働き方が求められる中で、働き方の選択肢を増やしてシニア世代の活躍を後押しする。

マツダは現在、60歳となっている定年退職の年齢を30年度にかけて2年ごとに1歳ずつ引き上げ、65歳とする。定年後の再雇用制度と比べて給与面の待遇を向上し、シニア人材のモチベーションアップを図る。

自動車メーカーではホンダが17年度に定年退職の年齢を60歳から65歳に引き上げたほか、日野も20年度に65歳に引き上げた。ホンダでは、再雇用された場合、報酬が現役世代の5割程度に下がっていたが、定年退職年齢を引き上げることで、現役の8割程度に報酬を引き上げるとともに、成果配分も実施した。

固定費が増加する定年退職の年齢は据え置きながら、シニア世代の熟練のノウハウを生かすため、シニア人材の活用を後押しする制度を導入する企業もある。スバルは21年度に再雇用制度を改定、再雇用者にも考課のプロセスを採り入れた。従来は職務によって一律だった報酬を成果によって変動させることでやる気を引き出す狙いだ。

また、トヨタ自動車では、生産現場で働く技能系の従業員が60歳の定年を迎えた後も、現役世代とほぼ同等の待遇を得られる再雇用制度「スキルド・パートナー(SP)」を16年から導入している。SPは一定の要件をクリアし、定年前の約8割の給与を受け取る「上級SP」や、技能や意欲が高くSPよりも高い給与水準となる「SP―A」を設けて給与水準を改善する。

ダイハツ工業は19年に組合員の定年退職後の再雇用制度を見直し「シニアエキスパート制度」を導入した。65歳までの一括する契約や、現役時のランクや評価で処遇を決めるほか、一時金導入など、シニア人材のモチベーション維持を図っている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞10月19日掲載