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2021年10月08日

自動車メーカー各社 新車オンライン販売の導入模索

国内でディーラーの店頭に足を運ばずに新車を購入できるオンライン販売の導入を模索する動きが広がっている。ホンダは4日、新車購入をインターネットで完結する専用サイトを新たに立ち上げた。日産自動車は今冬投入の新型電気自動車(EV)「アリア」をオンラインで購入できるようにする。

コロナ禍の影響からネットを介した新車販売は海外を中心に広がりを見せるが、販売店ネットワークが全国に整備されている日本では店頭で商談・購入するスタイルが定着している。販売現場でも国内でオンラインだけでの購入は限定的との見方が強く、店頭販売を上回るメリットを顧客に提供できるかが焦点となる。

ホンダのオンラインストア「ホンダオン」の運営は、4月に設立したオンライン販売子会社ホンダセールスオペレーションジャパンが担う。月額固定料金で途中解約や乗り替えが可能なサブスクリプションサービス限定でスタートし、サービスを拡充しながら新車をインターネット上で購入を完結できるサービスに発展させる。

ホンダオンで当面取り扱うサービスはトヨタ自動車が展開しているサブスクリプションサービス「キント」と類似する。キントが販売店と販売金融会社を介するのに対して、ホンダオンではホンダ全額出資子会社のホンダセールスオペレーションジャパンがメーカーから直接車両を仕入れて販売する。国内自動車メーカーでは初の試みとなる。

日産もアリア投入を機にオンライン販売を開始する。専用サイトでは、単に購入手続きにとどまらず、バーチャル(仮想)空間でアリアを体感できるコンテンツを用意するなど、デジタルを活用して顧客ニーズに対応する販売手法を模索する。

オンライン販売は海外市場で利用者が拡大している。米国では新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)で店舗が営業ができない中、オンライン販売が広がった。トヨタは2020年からオンライン販売のプラットフォーム「スマートパス」を立ち上げ、20年にオンラインで約1万3千台を販売した。21年はオンライン販売扱いディーラーを20年の50から倍増している。

ホンダセールスオペレーションジャパンでは、国内市場でもモデル選びから契約まで、すべてインターネットで完結することを求める消費者はコロナ禍前と比べて増えているという。それでも店頭商談・契約を望む消費者が全体の約8割を占めるのに対して、オンラインで購入手続きの完結を求める割合は4・3%。

販売店と顧客の結びつきが強く、下取りや値引き交渉も含めた商談が定着している国内市場で「ビジネスとして(オンライン販売比率が)4%を超えるのは難しい」(関社長)状況だ。まずは値引き交渉のないサブスクリプションサービスなどで、インターネットで新車を購入するスタイルの定着を図りながら、一歩ずつ消費者の意識改革を図ることになりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞10月5日掲載