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2021年10月05日

自工会 女性エンジニア増へ、中高生向け魅力発信を継続

日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)は、女性エンジニアを増やす取り組みに力を入れている。自動車業界では女性をはじめ多様な人材が活躍できる環境づくりが進んでいるものの、現状は男性の比率がまだまだ高い。

課題は、自動車業界を選ぶ理系女性が少ないだけではなく、そもそも理系の分野に進学する学生が少ない点だ。中高生に対して自動車の魅力や理系の面白さを発信する活動を継続、強化し、自動車業界で活躍する女性エンジニアの拡大を図る。

経済協力開発機構(OECD)がまとめた2019年に大学などの高等教育機関の理系分野に進んだ学生に占める女性の比率は、加盟国の中で日本が最も低かった。OECDは日本の比率が低い要因を目標となる女性の少なさと指摘する。

こうした状況の中、自工会が取り組んできたのが「ドライブフォーザフューチャー」だ。「理系の世界に進む中高生を応援したい」という思いから15年に始まったイベントで、7回目となる今回はコロナ禍のため、オンラインで8月中旬に開催し、約100人が参加。

パネルディスカッションと少人数制のフリートークを通じて、自動車メーカーの女性エンジニアが業界で働く魅力を伝えるとともに、文理選択前の中高生が抱える不安に自身の経験を踏まえて答えた。

「(中学1年生で習う)『マイナスとマイナスをかけるとプラスになる』でつまずいた」と中学生時代を振り返るのは、パネルディスカッションに登壇したマツダの藤本麻由美さん。「専門的で難しい」とイメージされがちな理系の分野だが、理系に進む全ての人が初めから理系を得意としている訳ではない。

藤本さんは「興味はあったので簡単な問題から繰り返し解いていくうちに理解が進み、面白くなっていった」と参加した中高生に話した。また、ヤマハ発動機の横山知世さんは「理系も文系も進路に答えはない。自分が進んだ道が正解と思えるポジティブな考えを持ってほしい」と中高生の背中を押した。

イベントでは自動車業界の魅力についても女性エンジニアが説明した。ホンダの河野麻里菜さんは、燃料電池に使用する電極の開発を担当している。自動車の進化の最前線で「新しいことに挑戦できることがとても楽しい」と話す。

100年に1度の変革期を迎えた自動車業界。イノベーションを起こしていくためには多様な人材が不可欠だ。自工会は業界をあげて理系女性を増やす取り組みを推進し、日本の産業競争力を引き上げていく考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 中高生,自動車業界

日刊自動車新聞10月2日掲載