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2021年10月05日

トヨタ 1人立ち乗り型の電動三輪車「シーウォークT」を発売

トヨタ自動車は1日、1人乗りの立ち乗り型自動車「C+walk(シーウォーク)T」を発売した。「パーソナルモビリティ」「移動支援ロボット」などと呼ばれる領域で初の商品化だ。今は公道を走れないが、警察庁は「歩道通行車」として走行を認める検討に入っている。トヨタでは商品バリエーションを増やし、運転免許証を返納した高齢者や移動制約者向けにこうした次世代モビリティ機器を普及させたい考えだ。

歩行者に混じって走ることを想定し、車体寸法を全長700×全幅450×全高1210ミリメートルに抑えた電動三輪車だ。定格出力0・25キロワット(0・3馬力)のブラシレスDCモーターで前輪を駆動する。

最高時速は2~6キロメートルの範囲で調整でき、業務用途を想定した時速10キロメートルに設定することもできる。脱着式のリチウムイオン電池は総電力量0・27キロワット時。約2時間半の充電で約14キロメートル走行できる。

開発はトヨタが担当し、生産は系列のプレスメーカー、豊田鉄工(岩瀬次郎社長、愛知県豊田市)が請け負う。豊田鉄工は自社でもパーソナルモビリティ「コモビ」を手がける。価格は34万1千~35万4200円(消費税込み)。全国の系列販社とレンタリース店を通じて売り出し、リースや貸し出しも検討する。

販売計画は今のところ定めていないという。というのも現行法で公道(歩道)は走れないからだ。類似の自動車には国土交通省が規定する「歩道等移動用自動車」や道路交通法上、歩行者として扱われる「ハンドル型電動車いす(シニアカー)」などがあるが、シーウォークTはいずれにも合致しない。当面は大型施設内での移動や業務用途(観光や警備など)を想定する。

ただ、警察庁はこうした移動手段の多様化を踏まえ、道交法の改正を検討中だ。同庁の有識者委員会は今春、類型のひとつとして時速6キロメートル以下のモビリティなら立ち乗り・座り乗りを問わず免許不要で歩道や路側帯を走れるよう中間報告で提言し、最高時速を10キロメートルまで上げることも検討課題とした。シーウォークTの仕様は、こうした法改正の動向をにらんだものだ。

開発を指揮したトヨタZEVファクトリーの谷中壮弘グループマネージャーは「免許を返納し、さらに歩くのがつらくなってくる年齢になっても出かけたい、仕事を続けたいという方が、こういったモビリティがあれば(外出や仕事を)続けられる。こういった乗り物をうまく使って、さまざまな人が活躍できるような社会が実現できたらと思う」と語った。

トヨタはシーウォークシリーズとして、ハンドル型電動車いす規格に合致した座り乗りタイプ、さらに車いす連結タイプも開発中だ。モビリティカンパニーとして、歩行領域の事業が本格的に始まる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞10月2日掲載