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2021年10月04日

トラック業界、デジタルツール活用広がる 効率化で人手不足解消へ

トラック業界でデジタルツールを活用して人手不足の解消を試みる動きが加速してきた。日本ミシュランタイヤ(須藤元社長)は出先でタイヤトラブルが発生した際の状況をデジタル技術を用いて正確に伝えられるシステムを開発し、トラブル時に適切に対応できるようにする。

一方、整備士が不足する大型車ディーラーでは、三菱ふそうトラック・バスが入庫管理用デジタルツールの導入を加速し、整備の効率化を図る。物流需要の拡大でドライバー、整備士ともに人材の不足感が強まっている。社会インフラである物流を維持するため、デジタルツールの活用が進む。

日本ミシュランタイヤと富士運輸(松岡弘晃代表取締役、奈良市)、富士運輸グループのドコマップジャパン(浦嶋一裕社長、東京都港区)が開発したのは、パンクなどのトラブル時に使用するレスキューアプリケーション「MRN GO」。

アプリでタイヤのパンク写真送付やタイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)との連動により、タイヤの状況を正確にコールセンターに伝えられる。コールセンターは緊急時対応の作業店に情報を展開。現場での作業を従来よりも効率化でき、車両の稼働停止期間を減らせる。

作業店の負担軽減とともに期待できる効果がドライバー不足の解消だ。ドライバー不足の常態化を背景に物流事業者は車の専門知識が少ないドライバーにも門戸を広げて人材確保を図っているが、パンク時などにタイヤの状態を的確にコールセンターに伝えられないケースもある。

日本ミシュランタイヤの須藤社長は「トラブル時の対応がベテランの人しかできないとなれば、(物流業界の)門戸は狭くなる」と述べ、デジタルツールの活用を幅広い層のドライバーが運転に集中できる環境づくりにつなげる考えを示す。

人手不足が深刻化するのはトラックを販売、整備するディーラーも同様だ。三菱ふそうは販売拠点の生産性を向上するため、入庫管理システム「デジタルサービスセンター(DSC)」の導入を進める。

DSCはホワイトボードなどでアナログ管理していた入庫情報をデジタル化し、大型モニターやパソコンで見える化するシステム。2019年からアナログ管理と併用する形で試験的に導入してきたが、24日にリニューアルした品川支店ではデジタルで完結できるように改良したシステムを導入し、全国への本格導入を始める。

1日に約40台の車両が入庫する大型拠点である品川支店の場合、アナログでの管理ではリアルタイムに管理することが難しく、生産性に課題があった。DSCを導入し、サービスフロントや整備士の負担軽減につなげる。

トラックドライバーや整備士は、これまで待遇や職場環境に課題があり、就職を志望する若者が減少してきた。そこにEC需要の拡大などで仕事量が増加し、人手の不足感が強くなった。デジタルツールの活用も加速し、人手不足の解消を図る。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞9月27日掲載