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2021年9月27日

「横浜キャンピングカーショー」開催 テレワーク、災害時の活用も

「横浜キャンピングカーショー2021」が18、19の2日間、パシフィコ横浜(横浜市西区)で開催された。27社のキャンピングカーメーカーが出展し、ニューモデルの車両展示をはじめ用品販売やステージイベントなどを行った。キャンピングカーとその関連用品は、アウトドア人気の高まりで需要が伸びていることに加えて、コロナ禍を背景としたテレワークスペースや災害時の緊急避難先としての活用にも注目を集めている。

日本RV協会(荒木賢治会長)ブースでは、6月に開催された東京キャンピングカーショーに引き続き、災害時活用に関する車両や活動内容を紹介するパネル展を実施した。

また、「令和3年大雨被害に対する緊急支援金」を募り、浄財の活用はキャンピングカーを被災地に搬送する際に必要な燃料代や、高速道路料金などに補填することを見込んでいる。

同協会の関係者は「加盟するキャンピングカーメーカーと、自治体や企業などで災害時協定をさらに強めていく方向で動いている」と述べ、キャンピングカーを旅行手段だけではない高い汎用性を持ったモビリティとして認知度を高めていきたい考えだ。

同協会の加盟企業の中には、すでに自治体と連携している事例もあるという。キャンピングカーのレンタルを行うキャンピングカー(頼定誠社長、東京都渋谷区)は、岡山市と災害支援協定を締結。市からの救援依頼時には、エンジンを切っても稼働できるFFヒーターなどを装備するキャンピングカーを貸し出し、被災者の生活支援に活用してもらう。

また、新型コロナウイルスワクチン接種会場に行くことが困難な高齢者支援として、医療機関や自治体向けに「メディカルキャンピングカー」の提供も行っている。日本RV協会は、こうした会員企業の活動を全国に広げるため「統括できる仕組みの構築を検討している」(関係者)という。

ニューモデルの発表も、出展各社から相次いで行われた。ケイワークス(黒田功代表取締役、愛知県豊橋市)は、リチウムイオンバッテリーを搭載する「メビウスシステム」を改良するとともに、最大乗車定員を7人(先代モデルは5人)とした「オーロラエクスクルーシブ7スター」を初公開した。

搭載リチウムイオンバッテリーの容量は、従来の300㌂時から320㌂時に向上させた。オプションで480㌂時まで強化できる。約7時間のエアコン稼働が可能で、車中泊におけるエンジンの騒音トラブルを回避でした上、乗員も快適に就寝できる。オプションのポップアップルーフを装備すれば、就寝定員も増やすことが可能で、さらに活用の幅が広がるという。

アウトドアブームの高まりで需要が伸びているキャンピングカーだが、世界的な半導体不足がメーカー各社の増販の勢いに水を差している。ケイワークスの営業担当者は、「ベース車両を確保することが難しい。納期遅れも心配されるため、見込みで発注して生産体制に影響が出ないよう努力している」という。

輸入車キャンピングカーを取り扱うデルタリンク(山田秀明社長、岡山県倉敷市)の関係者も、「(海外の)ロックダウンなどで現地サプライヤーの稼働停止や船便が遅れ、予定通りに車両が入ってこないこともある。年間の販売台数から見込みでオーダーをかけている」と話す。

カーナビゲーションについては「娯楽機能を備える上位機種の出荷遅れが深刻。多めに在庫を確保しておくことで、お客さまに迷惑がかからないように対策を施している」とのことだ。

キャンピングメーカー各社は、納期短縮のため工場の作業効率化などを進めているが、ベースとなる新車や関連用品の供給遅れに伴って納期遅延は深刻さを増しているという。人気モデルになると、平常時でも納期まで1~2年かかるクルマもある。アウトドアブームを追い風に、商機拡大へ弾みをつけたいキャンピングカー業界だが、当面は半導体不足という先行き不透明な課題を抱えながら、増販活動に取り組むことになりそうだ。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月24日掲載