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自動車産業インフォメーション

2021年9月14日

カー用品市場で自社ECサイト強化の動き メーカーや小売り店

用品市場で、独自サービスの利用促進を図って自社ドメインの電子商取引(EC)サイトに注力する動きが広がっている。出店の容易さや幅広い顧客層への露出のしやすさなどから、アマゾンなどの大手ECモールが重用される例は多いが、他事業者とプラットフォームを共有することで埋没するデメリットがあるほか、サービスやデザインの自由度にも制約がある。

こうした中、メーカーや小売りチェーンなど各社は実店舗との連動やアフターサービスとの連携効果をいっそう高めようと、自社ECサイトへの囲い込みを本格化させている。

2021年7月にはJVCケンウッドがECサイトを刷新。従来、音響機器を主力に販売していたが、刷新を機にカーナビゲーションシステム(カーナビ)やドライブレコーダーなど取り扱い商品を拡充した。カーエレクトロニクス機器の出張取り付けサービスや法人向けモビリティサービスへの動線も明確化するなど、自動車関連サービスを把握しやすいユーザーインターフェース(UI)とした。

アルパインマーケティング(石田宗樹社長、東京都大田区)も、自社ECサイトでカーナビなどの販売を手掛ける。17年にはカスタマイズカーを実店舗と並行して販売するなど、特色あるサイトづくりで顧客層となるカスタマイズ愛好家への訴求を強めている。

小売りの分野でも自社EC事業の強化が進む。オートバックスセブンは14年からアマゾンと連携してオンラインでの購入品を店頭で取り付けるサービスを実施していたが、18年限りで終了。その後、20年8月にECサイトを改修し、商品提案機能を強化するなど機能を大幅に刷新した。

決済機能の拡充などで店舗受け取り時の利便性も高め、来店を促しやすいシステムとして、EC利用と店舗体験、アフターサービスの利用を含め一体的に運用する狙いだ。

各社が自社サイトの充実を図る背景には、こうした独自色の打ち出しやすさがある。迅速に販路を拡大する上で大手ECモールの恩恵は大きい半面、デザインや複数サービスの連動などの面で自由度の低さもある。

コロナ禍を受けた巣ごもり消費の伸長も追い風にアフター市場のEC戦略がますます重要性を帯びる中、大手ECモールにはない自社サイトならではの付加価値訴求を図る動きに追随する事業者が今後も増えるか、注目が集まる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月11日掲載