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2021年9月06日

自動車技術会 体験型学習「キッズエンジニア」、初のオンライン開催

エンジニアの卵をオンラインで育てる―。自動車技術会(寺師茂樹会長)が小学生を対象に実施している、この夏の体験型学習イベント「キッズエンジニア2021オンライン」が8月31日に終了した。今年は新型コロナウイルスの感染拡大を鑑み、初のオンライン開催となったが、自動車に関連する科学技術やものづくりの楽しさを体験してもらう目的は変わることなく、さまざまなプログラムが用意された。

子どもたちはコロナ禍によって学校への登校が制限され、オンライン授業が定着しつつある。自動車開発の現場もまたリモートの活用が進む中で、この夏のキッズエンジニアはオンラインを通じて将来のエンジニアの卵を育てるという新たな機会のスタートにもなった。

キッズエンジニアは2008年から実施している。今夏は完全オンラインでの実施となったが、ライブ配信と録画配信による全17プログラムを用意した。教材は無料で提供する専用キットを使うものと、キットを使わなくても体験できるものの2種類を準備。これまでのイベントと同様に、ものづくり体験をオンラインで提供した。

トヨタ自動車は自動運転ミニカーを作って走らせるライブ配信プログラムを提供した。超音波センサーやマイコン、モーターなどで構成するミニカーを組み立てるとともに、実際に走らせるためのプログラミングも行った。

現在の自動車開発は電動化や自動運転技術の進展でソフトウエア開発の重要度合が増している。トヨタはプログラミングを通じて車を操作する楽しさ、難しさを体験する場を提供することで自動運転社会の実現を支える未来のエンジニアを育てたい考えだ。

新型電気自動車(EV)「アリア」や軽自動車EVなどで攻勢をかける日産自動車は、電気やエネルギーを学ぶプログラムを設けた。手回し発電機で作った電気で車の模型を走らせる実験を通して、EVの仕組みとエネルギーの大切さについて親子で学ぶコンテンツを用意した。

同イベントには部品メーカーも参加している。ジヤトコは車のスピードや力強さを変える仕組みを輪ゴムとプーリーを使って学べるプログラムを実施。トランスミッションの仕組みを優しく伝える内容となっている。

録画配信プログラムでは、マツダが車の企画設計から生産、出荷、販売に至る一連の流れを紹介。ダイハツ工業はカーデザイナーによるスケッチ教室を開催した。

今年のキッズエンジニアで行われた一連のプログラムは、いずれも自動車や部品の設計、開発につながるものばかりだ。オンライン開催となったものの、子どもたちが感じたものづくりの楽しさやワクワク感は実地開催と何ら変わるところはない。

若者のクルマ離れが叫ばれて久しいが、小さな子どもの頃に経験するさまざまなイベントは生き方の方向性を決める重要な羅針盤となる。それだけにオンラインを活用したものづくりの体験学習が、コロナ禍でリモート活用も進む新しい自動車・部品開発の魅力を伝える場となり、未来のエンジニアを目指すきっかけになることが期待される。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 キッズ・小学生,自動車業界

日刊自動車新聞8月30日掲載