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2021年8月25日

デロイトトーマツ調査 EV拡販、カギは総保有コストの認知向上

カーボンニュートラルの実現を目指して自動車を電動化する動きが日本でも加速する中、電気自動車(EV)の普及には、ランニングコストやモーター走行の魅力を訴求する取り組みの強化が欠かせなくなりそうだ。

デロイトトーマツグループ(永田高士CEO、東京都千代田区)の調査によると、EVに興味がある層(アーリーアダプター)の78・5%は、EVの総保有コスト(TCO)を認知することで、車両価格がガソリン車より高額でも許容できると回答した。燃料代や整備費用、購入補助金などを加味したTCOの認知度向上がEV販売拡大のカギを握ることが改めて浮き彫りとなった。

国内でも一部のメーカーやインポーターを中心に新車販売のEV化に向けた取り組みが目立ち始めており、市場拡大へのアプローチが今後、活発化していく見通しだ。こうした中、EVの販売台数底上げで重要なのが、新たな商品に関心の高いアーリーアダプターの取り込みだ。

デロイトの調査では、回答者の22%をEVの購入に高い関心を示すアーリーアダプターに分類。この層のうちEV車両価格がガソリン車より高額でも許容できると回答した割合は29・2%だったが、EVへの代替で節約できるランニングコストの金額が分かった場合、53・9%が車両価格差は節約分まで許容できると回答。

24・6%は節約分を上回る価格差を受け入れられることが示されるなど、TCOを正しく伝えることがEV販売拡大につながる可能性が高まる結果となった。

また回答の5%に当たる購入予定層(イノベーター)の22・6%がEVのメリットに「モーターならではの加速性能」を上げている半面、アーリーアダプターは13・1%にとどまった。アーリーアダプターはメリットとして「環境に対する配慮」(30・1%)や「災害時の非常用電池としての活用」(23・6%)を挙げる回答が多いものの、EVの走行性能などの理解度は高くないことが分かった。

デロイトトーマツコンサルティングの後石原大治自動車セクターディレクターは、調査結果について「アーリーアダプター攻略のカギはTCOやEVならではの乗り味への理解促進であることを示している」と指摘。EV販売では、通常の新モデル投入時以上に丁寧な説明が必要になるとの認識を示した。

「2021年版次世代自動車に関する消費者意識調査」として3月19日~21日にウェブによるアンケートを実施。8年以内に自動車を購入、代替を検討している20~69歳の男女1950人から回答を得た。車両価格やTCOなどに関する意識のほか、保有ブランドごとのEV導入意向なども調べた。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞8月19日掲載