自動車メーカーがコネクテッドカーを使って取得するデータを活用した新たなサービス創出を本格化する。ホンダは19日、ホンダ車の通行実績をもとに、渋滞を迂回する情報を道路標示板を使ってドライバーに伝えるサービスの提供を開始すると発表した。ホンダのコネクテッドカ―が走行したデータを活用して、自治体や道路管理者にパッケージでサービスを販売する。

トヨタ自動車子会社のウーブン・プラネット・ホールディングス(HD)は地図更新技術に強みを持つスタートアップ企業を買収、一般車両の映像データでリアルタイム地図を生成する技術開発を急ぐ。移動データを活用したサービスでは自動車メーカーは出遅れていたが巻き返しを図る。

ホンダは2017年からコネクテッドカ―から収集した車載データを解析して、危険な交差点などのデータを自治体などに販売する「ホンダドライブデータサービス」を展開してきたが、これを拡充する。

新たに提供するサービス「旅行時間表示サービス」はホンダのテレマティクスサービス「インターナビ」会員から取得した370万台(7月現在)のリアルタイム車両データから、道路の地点ごとに過去30分間通過するのに要した時間を計測、道路標示板に目的地までの複数ルートの移動時間を示す。

イベントや工事などで渋滞が発生しやすい道路に迂回情報を発信して渋滞を緩和するのに役立つ。簡単に低コストで渋滞関連情報をドライバーに伝えることができる。すでに複数の顧客が導入を決めており、今秋以降、実用化する。

自動車メーカーはコネクテッド技術とテレマティクスサービスを活用して多くのデータを収集しているものの、採算を確保できる新しいサービスの実用化はできていないのが現状だ。ホンダのモビリティサービス事業本部コネクテッド事業統括部の福森穣氏は「まいてきた種の芽がやっと出始めたところ」と述べており、車載データを活用した新しいサービスの事業化を模索する。

トヨタグループのウーブンは18日、自動運転車用の高精度地図を手がける米国のカーメラの買収を完了。カーメラは市販車に搭載しているドライブレコーダーなどから取得した画像データを、自動運転車用高精度地図を更新する技術に強みを持つ。ウーブンはリアルタイム地図を提供するプラットフォームを構築、商用車向け新規サービスなどを視野に入れる。

自動車への車載通信機の搭載が加速しており、コネクテッドカーの普及によって今後、多くのデータが自動車メーカーに集まる。これらのデータをどう二次活用して、新たなビジネスにつなげていくのか。自動車各社の取り組みが本格化する。