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2021年7月27日

国交省、交通事故被害者の救済策拡充方針 あり方検討会が報告書

国土交通省が検討を進めていた交通事故被害者の救済策の拡充ついて方針が固まった。「今後の自動車事故被害者救済対策のあり方に関する検討会」が報告書をまとめたもので、後遺症が残る被害者の社会復帰に向けたリハビリ支援の強化に加え、脊髄損傷や脳機能障害など被害の現況に応じた支援策の創設を打ち出した。

合わせて被害者家族の高齢化対応として「介護者なき後の対策」を充実する必要性を訴えた。国交省は報告書に基づき政策づくりを本格化する考えで、早ければ一部を2022年度当初予算案に盛り込む見通しだ。

報告書は同検討会の福田弥夫座長(日本大学危機管理学部長)が赤羽一嘉国交相に手渡した。福田座長は「保険や医療、福祉、法律といった各分野の学識経験者に加えてさまざまな被害者、遺族団体の代表と議論を進めてきた」と、被害者らの生の声を反映してまとめたことを強調した。

その上で社会情勢や被害者の現況を踏まえ、機能回復に長い時間がかかる重度後遺障害者の治療、リハビリに積極的に取り組む医療機関を支援する新制度の創設を求めた。一部地域の療護施設で発生した待機患者を解消するための体制強化も重要課題に挙げた。

さらに福田座長は、被害者家族が自らの高齢化によって被害者の介護が難しくなることを心配するケースが目立っており「介護者なき後における生活の場の確保」が重要課題になったと報告。そして「グループホーム等の新設や介護支援の賃金改善をサポートする仕組みが必要」と要望した。

赤羽国交相は「私自身、被害者家族をはじめ多くの切実な声を聞いている」と述べ、提言の具体化に向けて「国交省としてしっかりとアクションしていく」と約束した。

また、交通事故の現況について「死者数は減少している」としつつ「先日の飲酒運転のトラック事故で児童5人が死傷した。あってはならない事故が未だに起きている」との危機感を露わにし「交通事故の撲滅にも取り組む」と意気込んだ。

カテゴリー 交通安全
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月20日掲載