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2021年7月09日

大型車メーカー4社 飲酒運転防止システム標準化、改めて検討

大型車メーカー4社が飲酒運転防止システムの搭載に向けて再検討を開始した。これまでも事業用自動車の飲酒運転による交通事故が起こるたびに飲酒運転を防止するシステムの搭載を検討してきたが、コストなどが課題となり、標準装備化を見送ってきた。

千葉県八街市で飲酒運転のトラック運転手による児童死傷事故が発生したことを受けて、大型4社が連携し、事業用自動車に飲酒運転防止システムを標準搭載する道を探る。

日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)の中で、大型車への飲酒運転防止システムの搭載を再検討する。飲酒運転防止システムとしては、運転前にドライバーの呼気を調べ、アルコール濃度を検知した場合、エンジンが始動できない「アルコールインターロック」などを検討する。

海外の一部ではアルコールインターロックの装備が義務付けられており、自工会でも約15年前に搭載を検討していた。しかし、始業前点呼が義務付けられていない「白ナンバー」のトラックが多いことや、コストが上がる問題もあって日本では標準装備されておらず、東海電子など一部が後付け品として販売しているのにとどまっている。

特にコスト面の課題は大きい。先進運転支援機能や電動化など、ただでさえ車両コストは上昇する傾向にある中、装備を標準搭載して車両価格の値上げを自動車運送事業者が容認するかのハードルは高い。一方で、オプション設定では、装備は進まず、有効活用されない可能性が高い。

また、装備の普及に向けては技術の標準化も課題になる。近年では一部の欧州自動車メーカーが車内カメラで飲酒運転の挙動を検知する技術の商品化を進めるなど飲酒運転に関連するセンシング技術も進化している。

UDトラックスの酒巻孝光社長は「どこまでできるか、レベルを合わせてやらなければいけない」と指摘する。日野自動車の小木曽聡社長は「自工会などで連携し、ルールやガイドラインを作っていく必要がある」と主張する。

警察庁によると、2020年の飲酒運転による交通事故発生件数は2522件。トラックドライバーによる事故件数はわずかだが、大型車両の場合、一度の事故で悲惨な死傷事故になりやすい。

大型車メーカーはハード側で飲酒運転防止の必要性を再検討し、死亡事故ゼロに向けたアプローチを模索する。

カテゴリー 交通安全
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月6日掲載