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2021年6月30日

サプライヤーのカーボンニュートラル対応本格化 部工会が新組織発足

自動車部品メーカーがカーボンニュートラルへの対応を本格化する。部品メーカー427社が加盟する日本自動車部品工業会(部工会、尾堂真一会長)は、サプライヤーのカーボンニュートラルに向けた取り組みを支援する組織を新たに発足した。

自動車メーカーの一部ではティア1(一次サプライヤー)に対して、二酸化炭素(CO2)排出量の削減を要請している。今後、自動車メーカーが脱炭素で製造した部品を優先的に採用する可能性があり、サプライヤー各社は対応を急ぐ。

日本などの各国政府が2050年のカーボンニュートラル社会の実現を打ち出したことを受けて、部工会は新たに「カーボンニュートラル対応部会」を立ち上げた。総務委員会、国際委員会、総合技術委員会を横断する組織体で、部会長にはデンソーの横尾英博経営役員が就いた。

部工会が委員会横串の組織を設けるのは初めて。カーボンニュートラル化の動きが自動車部品業界に幅広く影響が及ぶことから組織を挙げて取り組む。

脱炭素化に向けてサプライヤーは、電動化に伴う内燃機関の関連部品の市場が縮小する一方で、生産活動などでの脱炭素化の取り組みが求められる。エンジン関連部品を手がけるサプライヤーは、事業ポートフォリオの見直しを迫られる。

生産活動での脱炭素化では、自動車メーカーが今後、脱炭素化で製造した部品の調達を優先する可能性がある。トヨタ自動車はティア1サプライヤーに対して3%のCO2削減を要請している。カーボンニュートラルの取り組みはサプライヤーの生き残りを左右する。

部工会は、サプライヤーが脱炭素社会に向けた大波を乗り切るための支援を本格化する。カーボンニュートラル対応部会が中心となって、会員企業に対してアンケートを実施、現状を把握するとともに、カーボンニュートラルを実現する上での要望などを取りまとめて、政府などに支援を要請していく。

特に課題となるのが中小・零細企業の多い二次、三次の部品メーカーの対応だ。企業体力が小さいと脱炭素化に向けた投資も限られる。

自動車メーカーが脱炭素化に伴うコストを負担せずに、電源構成でCO2排出量が少ない国で製造した部品の調達を優先した場合、「国内の工場が失われる可能性もある」(部工会・尾堂会長)。ティア1は二次、三次の脱炭素化の取り組みの支援も求められる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月22日掲載