全日本トラック協会(坂本克己会長、全ト協)は24日、都内で「第98回通常総会」「第191回理事会」を開催し、坂本会長の続投を決定した。坂本会長は、総会で今期の貨物取扱量について、コロナ禍からの回復が見込めるとの見通しを示した。

その一方で、トラック事業者には依然として雇用対策や運賃適正化などの課題が山積しており、これらの改善に向けて、業界のさらなる団結と政府支援を訴えた。特に運賃適正化では「悪徳な荷主には退場してもらうべき」と強い姿勢を示した。

坂本会長は2021年度の貨物取扱量について「上期が前年比9%増、下期が同5%増となるという見立てがある」と物流事業のコロナ禍からの回復に期待を示した。

その上で成長の持続には「雇用調整助成金」の延長が必要とした。現在も多くの事業者が助成金を頼りに事業を継続しており「(トラック事業は)雇用があって初めて成り立つ。少なくとも12月まで継続してもらえないと雇用対策ができない」と政府支援を要望した。

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種については「われわれ(トラック事業者)は〝エッセンシャルワーカー〟である」として、トラックドライバーの優先接種を呼びかけていくとした。

「適正運賃の収受」については、届け出率が5月末現在で25%にとどまる実態を踏まえ、今後も届け出の促進に取り組む考えを示した。同時に不当に低い運賃を強いる〝悪徳な荷主〟には、取り引きの見直しを含め対応を検討するよう業界の団結を呼びかけた。

合わせて高速道路ネットワークの整備推進、ミッシングリンクの解消、渋滞対策の推進に引き続き取り組むとした。

来賓の国土交通省自動車局の秡川直也局長は「いろいろな心配がある中、トラック事業者には、物資を運ぶという社会貢献をしてもらっている。標準的な運賃の達成にはまだ課題があるが、われわれ行政もしっかり支援していきたい」と協力の意向を述べた。