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自動車産業インフォメーション

2021年6月29日

部品メーカー、ドローンビジネスに関心 試作機や技術紹介

自動車部品メーカーが新たな商機を狙ってドローン(無人航空機)に熱い視線を送っている。14~16日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された「ジャパンドローン」に自動車部品サプライヤー各社が出展し、試作機や技術を紹介した。

輸送・配送や社会インフラの点検、測量、マッピングなど、ドローンを活用した新しいサービスなどによってドローンビジネスは拡大が見込まれている。サプライヤー各社は、自動車部品の開発・製造で培った技術を応用することで、投資を抑制しつつ、事業ポートフォリオを拡充する意向だ。

愛三工業は、電池とエンジンを組み合わせた「ハイブリッドドローン技術」を搭載したドローンの実証機を展示した。エンジンを発電機として使用、搭載する電池容量を抑えながら、蓄電池のみで飛行するドローンに比べて飛行時間を6倍に延ばすことができるという。

自社開発したエンジン発電機とPCU(電力制御ユニット)、バッテリーなどで構成するシステムを搭載する。燃料ポンプをはじめとした自動車用エンジン部品の技術を生かして開発した。

日本化薬は、ドローン用パラシュートを製作し、12月には一部製品を市販する予定だ。ドローンが飛行中に故障した場合、人などに被害が及ぶ恐れがあるため、パラシュートを自動で開き、急激な落下を防ぐ。

同社が手がけるエアバッグ用インフレーターやシートベルト用ガス発生装置などの技術を応用して開発している。将来の実用化が見込まれている人を乗せて飛行する「空飛ぶクルマ」を想定したパラシュートシステムも開発している。

日本ガスケット(楠隆博社長、愛知県豊田市)は、紙抄き技術を応用した抄造製法を紹介。ドローンに適した軽量な複合材料を成形する技術としている。炭素繊維と樹脂を攪拌(かくはん)混合、金網でろ過して脱水することで、シート状の複合素材を成形する。

再生した炭素繊維を使うことも可能で、軽量、高強度な炭素繊維強化プラスチックを低コストで成形できる。軽量化が求められるドローン機体への採用の可能性を探る。

政府は2022年度に有人地帯における目視外飛行(レベル4)を解禁する航空法の改正案を閣議決定するなど、規制緩和に伴って、今後のドローンを活用したビジネス拡大が見込まれている。

矢野経済研究所が今年2月に発表した世界のドローン市場調査によると、18年の軍用と民生用の合計市場規模は約1兆6千億円だったのが、20~25年の年平均成長率8・3%で成長すると予測。

自動車メーカーからの厳しい原価低減要求にさらされている部品メーカーは、成長が見込まれるドローン関連ビジネスを創出することで、事業の拡大とリスク分散を図ろうとしている。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月26日掲載