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2021年6月24日

政府「骨太方針」を閣議決定 電動車普及へ環境整備

政府は「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2021」を閣議決定した。同時に骨太方針を具体化する「成長戦略実行計画」も決めた。臨時閣議前の経済財政諮問会議と成長戦略会議の合同会議で菅義偉首相は「グリーン、デジタル、活力ある地方づくり、少子化対策」を4つの原動力に位置づけ、「重点的な投資を行う」との方針を示した。

自動車分野の成長戦略でも、これらの取り組みが重点となる。さらに菅首相は日本経済を早期に成長軌道に戻すとともに「賃上げによって、新型コロナの中で拡大した格差を是正する」と意欲をみせた。

骨太方針では、政府目標として掲げた50年の温室効果ガス実質ゼロ化に向け、温暖化対策と経済成長を両輪で進める方針が強調された。「2兆円基金」などを活用し、脱炭素技術で日本が世界をリードする力を高める。

電動車の普及に向けた環境整備も進める。デジタル化に加え、MaaS(サービスとしてのモビリティ)などと融合した「スマートシティ」の構築を通じた地方創生にも力を入れていく。

こうした骨太方針に基づき示された成長戦略実行計画では、要となる「グリーン成長戦略」において、次世代電池の開発や生産体制の強化を進め自動車、蓄電池産業の成長を促進していく。

内燃機関の低炭素化につながる合成燃料についても、今後10年間で集中的に開発や実証を進め、40年の自立商用化を目指す。電気自動車を「動く蓄電池」として住宅やビルなどと組み合わせてエネルギー効率を高めるライフスタイルの変革にも力を入れていく。

デジタル化に向けては、自動車の完成検査を人手から人工知能(AI)を活用したシステムに代替できるよう今年中に制度改正を行う方針を盛り込んだ。電動化や自動運転技術の高度化に欠かせない半導体については、国内生産基盤の拡充と次世代技術の開発に取り組む。希土類など重要物資の安定確保に向けたサプライチェーンの強靭化も加速させる方針だ。

臨時閣議後に会見した西村康稔経済再生担当相は「成長戦略で生産性を向上し(その成果を)賃金に反映させる」ことと、着実な計画実行で「経済の好循環を実現して力強い成長につなげていく」ことを目指すとした。骨太方針と実行計画が固まったことで、関係省庁では22年度の予算編成が本格化する。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月21日掲載