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2021年6月18日

自民党有志「バッテリー議連」立ち上げ 電動車普及へ緊急決議

電動車に欠かせない蓄電池の産業競争力の強化に向け自民党の有志による「未来社会を創出する、バッテリー等の基盤産業振興議員連盟」が立ち上がった。グローバルで脱炭素化の流れが加速する中、各国がしのぎを削る次世代蓄電池の実用化を強力に後押しし、世界をリードしていくことが狙い。

11日開かれた設立総会では蓄電池や材料の大規模生産拠点の国内立地につながる大胆な支援策に加え、国内の電動車普及に向けた措置などを求める緊急決議も採択。同議連では政府に働きかけを強め、今後の経済対策や税制改正などへの反映を目指していく考えだ。

同議連の会長に就いた甘利明税制調査会長は日本の蓄電池産業の現状について、「まだ半歩リードしている」としたものの、「取り組み次第ではあっという間に追いつかれる脆弱性を持っている」と強い危機感を示す。

自動車産業でも電動車の世界市場が2030年に「(今の5倍の)3千万台になる」とし、一気に電動化が進むとも指摘。電動車時代でも日本の自動車産業やサプライチェーンが存在感を示せるように「戦略物資として上流の部材から下流の完成品を含めた支援策を策定する」ことで、一層激しくなると見込まれる海外勢と競り勝てる産業基盤の整備につなげていく。

議連の顧問には安倍晋三前首相が就任し、「バッテリーは極めて重要な戦略物資」との認識を明らかにした。その中で、グローバルで熱を帯びる蓄電池の開発競争について、「国家資源主義的な国が国ぐるみでやっており、相当なアドバンテージを持っている」との懸念を示し、日本も「同志国との協力に加え、国家戦略的な観点が重要」と政策の拡充を訴えた。

設立総会では現在主流のリチウムイオン電池の生みの親であり、19年にノーベル化学賞を受賞した旭化成の吉野彰名誉フェローによる講演も行われた。

自民党では5月、有志による「半導体戦略推進議員連盟」が設立されており、同じく甘利会長を安倍氏が支える形となっている。半導体も蓄電池同様に、次代の自動車産業の成長に必須の分野であり、相次ぐ議連立ち上げは日本経済にとって自動車の重要性を裏付けた格好だ。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月15日掲載