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2021年6月04日

電池サプライチェーン協議会 業界の枠超えて連携強化

電池サプライチェーン協議会(BASC、阿部功会長)は、自動車分野を含めた関係団体との連携強化に乗り出す。自動車各社が相次いで打ち出している電動化や2050年のカーボンニュートラルの達成に向けては、原材料の安定調達、資源採掘やリサイクルなどを含めたサプライチェーン全体での取り組みが求められる。

しかし、電池業界単独でこれらの課題を解決するのは困難で、日本自動車工業会や日本自動車部品工業会などとの連携を視野に入れる。電動車シフトで需要急増が見込まれる車載用電池の課題に対して、業界の枠を超えたオールジャパンで取り組みを加速することを目指す。

BASCは、電池・部材メーカーや自動車メーカーなどで構成する団体で、車載用バッテリーに関連する日系企業の国際競争力強化などを目的に今年4月1日に発足したばかり。現在、60社を超える企業が参画している。

BASCが電池関連産業以外の関係団体との連携強化を図るのは、電池サプライチェーンをめぐる問題が「各団体だけでは話が進まないレベルで、業界をまたいで考えないといけない」(阿部会長)との危機感があるからだ。

国内の電池サプライチェーンが抱える課題は少なくない。電池生産に必要な原材料であるリチウムや天然黒鉛などは一部地域に偏在しており、安定調達する上での地政学的リスクが大きい。加えて、部材の製造では、環境対策も含めて投資負担が大きく、簡単には生産能力を増強できない。使用済電池はリユースやリサイクル、再資源化などの問題も抱える。

日本を含む各国政府がカーボンニュートラルの実現を掲げたことから、さらに問題が大きくなった。電池は不安定さが課題の再生可能エネルギーで生み出されたエネルギーを蓄えることができるデバイスで、車載用に限らず電池の需要は今後、急増する見通し。

車載用で使用済みとなった電池を定置用に二次利用できる可能性があり、日産自動車などはその取り組みを開始している。車載用電池は、自動車以外も含めて幅広い業界に関係することから、今の段階から電池以外の業界団体と積極的に連携していく。

電池サプライチェーンに関係するさまざまな国内の業界が連携して、素材を含めて電池を安定供給することで、電動車の普及を後押しする。使用後の電池は、環境に配慮しながら効率的に循環させることで、車載用電池サプライチェーンのビジネスモデルの構築を日本が主導していく構えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月1日掲載