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2021年6月03日

経産省「スマートモビリティチャレンジ」 先進的な取り組みを全国展開

経済産業省は移動課題の解決や地域活性化を目指して取り組んでいる「スマートモビリティチャレンジ」の今後の方向性をまとめた。2020年度事業の成果を基にMaaS(サービスとしてのモビリティ)実証のさらなる高度化に取り組むとともに、先進的な取り組み事例を全国に横展開する機能を強化する。

同省は国土交通省とともに19年度から、新たなモビリティサービスを社会実装するスマートモビリティチャレンジ事業を推進している。地域と事業者の連携に向けたプラットフォームとしてスマートモビリティ推進協議会(以下、協議会)を設置し、シンポジウムの開催やキャンペーンサイトでのマッチングなどを行ってきた。協議会には21年3月末時点で自治体107、事業者171、団体28の合計306者が参加している。

20年度は経産・国交両省で合計50(うち経産省分は16地域)の地域を選定し、実証実験や横断的な分析を行った。その結果を「新たなモビリティサービスの社会実装に向けた知見集」にまとめるとともに、来年度以降の取り組みの方向性を示した。

20年度は①他の移動との重ね掛けによる効率化②モビリティでのサービス提供③需要側の変容を促す仕掛け④異業種との連携による収益活用・付加価値創出⑤モビリティ関連データの取得、交通・都市政策との連携―という5つの要素に加え、自動走行を活用した取り組みを対象にした「先進パイロット地域」を選定し実証実験を行った。

例えば①では、福井県永平寺町や北海道上士幌町でデマンドタクシー、福祉バスによる貨物輸送や配送車両での旅客輸送の収益性、住民の受容性を検証した。②では兵庫県養父市で人工知能(AI)による移動販売車の巡回ルート最適化の検証を実施した。

自動走行を活用したMaaSでは、福島県浪江町・南相馬市・双葉町で、町中心部を定期運行する巡回シャトルバスとデマンドタクシーなどを道の駅を拠点に接続することによるサービスの効率化を検証した。

21年度は先進地域での取り組みが一定程度進展し、分野・地域横断的な課題も明らかになりつつある状況を踏まえ、協議会の課題吸い上げ機能やマッチングに関わる機能を強化し、MaaSの一層の普及・定着・高度化を促す。

具体的には①データの活用・連携基盤の構築②必要な人材の確保③マッチング機能の強化④取り組みの持続性の確保-といった分野・地域横断的な4つの観点で取り組む。移動課題を起点とし、広く地域の社会課題を解決する全国規模でのエコシステム(生態系)の構築を目指す。

地方自治体や事業者などでの取り組みの参考として、「新たなモビリティサービスの社会実装に向けた知見集(令和2年度版)」をまとめた。先進パイロット地域で実施したプロジェクトの概要とサービスの持続可能性を高める取り組み事例などを紹介した。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞5月31日掲載