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2021年6月01日

自動車メーカー各社 多様化する「車の買い方」提案

自動車メーカーが、新しい自動車の使い方や持ち方の消費者への提案に力を入れている。ホンダは5月25日、自動車保険や税金を含めて車保有に関する支払いを定額で一本化する商品「楽らくまるごとプラン(楽まる)」の取り扱いを開始したと発表した。支払いの煩わしさを解消し、車に興味を持たない20~30代の女性客などの新車需要を取り込むのが狙い。

同様のサービスはトヨタ自動車や三菱自動車も展開するほか、ホンダやスバルは中古車のサブスクリプションサービスも手がけている。車の保有や利用の選択肢を増やすことで、クルマ離れに歯止めをかける意向だ。

ホンダが新たに取り扱いを開始した商品は車両代やメンテナンス費用に加え、延長保証費や自動車関連の税金、自動車保険の支払いをまとめて月々の支払いを定額にするサービス。主要な量販モデルの全てを対象とし、料金を月額約2万5千円からに抑えた。

税金や保険も含めて支払いを簡素化するサービスは、トヨタの「KINTO」や三菱自の「ウルトラマイカープラン」と同様だが、ホンダの商品では顧客のライフスタイルの変化に応じて、柔軟に利用できるようにしたのが特徴だ。

中途解約も可能な料金体系としたほか、設定している3年、5年、7年の契約プランのうち、3年、5年の場合、契約終了後にユーザーが車を買い取ることが可能(7年の場合は譲渡)。5年プランでは再リースによる延長も可能だ。転居した場合は、転居先のホンダ系ディーラーで同様のメンテナンスサービスを受けられる。

自動車メーカーが設定しているこれら新しいサービスの主要ターゲットは若年層だ。国内の新車市場における顧客の平均年齢は上昇を続けており、若返りは各社共通の課題。日本自動車工業会の調べによると、残価設定型クレジットやリースといった月額定額商品の契約者の年齢別構成比は、50代が28%、60代が16%にとどまる一方で、20代以下は48%とほぼ半分を占める。

ホンダ日本本部営業企画部の白鳥大介主任は「車の売価が上がっていることもあり、購入をちゅうちょする若い人も多い。潜在的に車を欲しい人の心理的な敷居を下げて国内販売を盛り上げたい」と話す。

先行展開しているトヨタや三菱自のサービスも若年層の開拓に一役買っている。トヨタの場合、取り扱う販売店を限定しているホンダと異なり、インターネットでの申し込みが可能で、保険等級の低い若者でも月々の支払い額を低く抑えることができる。このため、若年層の契約者からの関心が高く、利用者の約4割が30代以下となっている。

三菱自は「高齢層の利用も多いが、20~30歳代の1台目の需要を取り込むための武器」(石川善太国内営業本部長)と位置付けてウルトラマイカープランの提案に注力しており、20代の比率が20%と通常の購入方法と比べて若者の比率が高い。

新しい車の買い方でホンダは、楽まるのほか、1カ月単位で利用できる中古車サブスクリプションサービス「マンスリーオーナー」を展開する。スバルも中古車を利用した「スバルサブスクプラン」を3月に開始した。国内市場が縮小傾向に向かう中、各社車の購入方法を増やし、潜在需要を掘り起こす。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞5月26日掲載