自動車生産の回復がアルミニウム市場の拡大をけん引する。日本アルミニウム協会(岡本一郎会長)が発表した「2021年度アルミニウム圧延品需要見通し」は前年比5・0%増の182万880㌧を見込む。板類は同5・3%増、押出類が同4・4%増と伸びる見通しだ。

自動車向けが食品や建設向けの伸び率を大きく上回る状況で、自動車生産台数の増加が市場全体を押し上げると予想する。箔は車載用リチウムイオン電池向けが継続して増加すると見込んでいる。

同協会が同時に発表した20年度のアルミ圧延品出荷実績は、同7・7%減の173万4633㌧と落ち込んだ。内訳は板類が同6・1%減の106万1306㌧、押出類が同10・1%減の67万3327㌧だった。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、板類では缶材や自動車向け、押出類は建設や自動車向けが低迷した。

21年度見通しの板類のうち、自動車向けが同11・6%増の19万1520㌧を見込む。国内生産の回復に加え、自動車へのアルミ採用比率が高まることも織り込んだ。

板類は自動車向けが、5G(第5世代移動通信システム)やDX(デジタルトランスフォーメーション)などが好調な電気機器向けを上回る伸び率で、全体の需要増を下支えしている。

押出類でも同様の傾向を示す。押出類の21年度の需要見通しは同4・4%増の70万3090㌧で、このうち自動車向けは同7・3%増の13万1070㌧。

箔ではリチウムイオン電池向けの需要が増加する見通し。特に電動車シフトの本格化が見込まれる車載用は継続的に増加すると想定しており、21年度のリチウムイオン電池向け需要は同23・9%増の3万7千㌧を予想する。

自動車部材としてのアルミ材の採用は拡大を続けている。軽量で比強度(単位重量当たりの強度)が高いことに加え、加工性やリサイクル性も高いことから、外板パネルやシャシー、各種部品などに使われている。電動車両の航続距離を伸ばすための軽量化ニーズの高まりも需要拡大の追い風になっている。