会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2021年5月20日

日刊自連載「トラック市場の今 自工会調査から」(上)

2050年のカーボンニュートラルに向けて脱炭素化に向けた動きが加速する中、トラック事業者が環境対策費用に強い負担感を感じている実態が日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)の調査で明らかになった。

トラック輸送を手掛ける運輸事業者と自家用トラックを保有する事業者のうち11%が環境対策費について「非常に負担」と回答。「やや負担」「負担は感じるが仕方ない」も合わせると76%に上った。

トラックメーカー各社が電動化に向けた取り組みを強める一方、電動化に伴うコスト負担を軽減できる仕組み作りや提案が一層欠かせなくなっている。

環境対策費用への負担感をより強く感じているのが運輸事業者だ。自工会が4月に発表した「小型・軽トラック市場動向調査」(調査期間20年10月1日~11月9日)によると、運輸事業者のうち19%が「非常に負担」と回答。

「やや負担」「負担は感じるが仕方ない」を加えると90%になった。さらに建設業や製造業など自家用トラックを保有する運輸業以外の事業者も前回(18年)調査より10㌽高い75%に上昇した。

コスト負担に懸念を示す回答が多い一方、次世代環境車の導入に前向きな事業者が増えている。小型トラックを保有する事業者でHVの導入を検討しているのは39%と前回調査より9㌽アップした。

このほか、プラグインハイブリッド車(PHV)20%(前回比11㌽増)、電気自動車(EV)12%(同4㌽増)、燃料電池車(FCV)8%(同3㌽増)と軒並み上昇している。

導入意欲が高まる中、購入する上で最も懸念点として上げられているのがコストだ。HVを導入する上での懸念について65%が「車両価格が高い」と回答。PHV、EV、FCVもおおむね7割弱の水準だ。

許容できるコスト上昇は6割が20万円までと答えており、普及には車両代とランニングコストを含めたトータルコストでメリットを生み出す必要がありそうだ。

さらに軽トラック保有事業者も電動車を望む声が増えている。特にニーズが高まっているのがPHVだ。「購入検討する」との回答は18%と前回より14㌽アップした。

HVは25%(同㌽増)と小トラ同様、最も高い水準。軽キャブバン保有事業者では、HVの購入検討が40%(同9㌽増)に上った。

日本政府がカーボンニュートラルへの方針を示したことで、宅配事業者などがEV導入への意欲を高めるなど、輸送事業を取り巻く電動化への取り組みは加速している。

佐川急便がベンチャー企業と共同開発を進める小口配送用の軽バンは、車両代や維持費を含めた総コストをガソリン軽貨物車より抑えて運用する計画だ。

調査ではEVの導入について49%が航続可能距離に、44%がバッテリーの耐用年数に不安があると回答。EVの普及には、コスト面など多くの課題を解消する必要性が示された。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞5月17日掲載