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2021年5月13日

国交省 滋賀・東近江市「道の駅」に自動運転サービス本格導入

国土交通省は「道の駅 奥永源寺渓流の里」(滋賀県東近江市蓼畑町)で全国2カ所目となる自動運転サービスの本格導入を始めた。高齢化が進む中山間地域の生活の足を確保することを目的としたもので、路車協調で自動運転する車両で人やモノを運ぶ。

地域の意見などを踏まえ運行計画などを随時見直し、より良いサービスを目指す。

同省は道の駅などを拠点とした自動運転サービスの実証実験を2017年から全国18カ所で実施している。このうち秋田県上小阿仁村の「道の駅 かみこあに」では、19年11月からヤマハ発動機の6人乗り自動運転車両を使ったサービスを本格導入し、社会実装に移行している。

新たに4月23日から本格的にサービスを開始した道の駅奥永源寺渓流の里での自動運転サービスは、東近江市が運営主体となり交通事業者に運行管理を委託するサービスで、高齢者の送迎、観光客(キャンプ、登山)の利用、農作物や日用品などの配送での利用を見込んでいる。

道の駅から登山口の銚子ヶ口までの往復4・4㌔㍍を運行し、運賃は1回150円(定期券、回数券も発行する予定)、運送料は同100円に設定した。

自動運転車両には、道の駅かみこあにでのサービスと同様、ヤマハ発の車両を使用する。乗車定員は最大6人(乗客は4人)で、道路に敷設した電磁誘導線で車両を誘導する。

運転手は地元の有償ボランティアが務めるが、運行を監視するのみでハンドルなどの操作は行わない。車両は時速12㌔㍍で自動走行する。

土・日・水・金曜日の週4日、午前2便・午後4便の計6便を定期便として運行する。ルート上には看板や路面標示を設置し、地域の協力を得て自動運転車が円滑に走行できるよう周知するとしている。

中山間地域での自動運転実証実験は、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の取り組みの一つである「自動運転(システムとサービスの拡張)」に基づいて実施している。

17~18年度に18カ所で実証実験を行い、このうち社会実装に移行した2カ所を含む8カ所で長期実証実験を継続している。

過疎化と高齢化が進む中山間地域では、バスや鉄道などの公共交通機関の採算が難しく、ドライバー不足もあって高齢者の生活の足をいかに確保するのかが課題になっている。自動運転車両を使った移動サービスが軌道に乗れば、課題解決の一歩になると期待されている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞5月10日掲載