2021年4月28日
カーボンニュートラルの波 モータースポーツの世界にも
世界的にカーボンニュートラルを目指す機運が高まる中、モータースポーツの世界においても「炭素中立」の動きが広がっている。電気自動車(EV)レースでは「フォーミュラE」に加えて、オフロードレースの「エクストリームE」が4月に開幕した。
ガソリンエンジンによるレースも「フォーミュラ・ワン(F1)」や「世界ラリー選手権(WRC)」で合成燃料の導入を検討している。自動車メーカーでは、トヨタ自動車が水素エンジン搭載車で24時間耐久レースに参戦する。
〝走る実験室〟とされるモータースポーツでカーボンニュートラルが加速することで環境車技術も磨かれることになりそうだ。
「電気のF1」と言われるフォーミュラEは2014年に開幕した。日系メーカーで唯一同レースに参戦する日産自動車は、25―26年シーズンまで長期参戦を宣言。レース活動を通じ、EV技術を磨く考えだ。
砂漠など過酷なオフロードでEVが競うエクストリームEも、世界的に環境意識が高まる中で注目度が高いレースとなっている。
既存のガソリンエンジンのレースにもカーボンニュートラルの波が押し寄せている。世界最高峰レースとされるF1では、二酸化炭素(CO2)と水素を反応させてカーボンニュートラルを実現する合成燃料の導入が検討されている。
フォルクスワーゲンは、合成燃料を使用したF1レースが実現すれば、ポルシェとしてレースへの参戦を検討すると報じられている。
トヨタは、水素を燃焼することで動力を発生させる水素エンジン車を開発した。レースには福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R、福島県浪江町)で製造した再生可能エネルギーによる「グリーン水素」を活用する。
水素エンジン車で自らドライバーとして参戦する豊田章男社長は「カーボンニュートラル実現に向けて水素エンジンは一つの選択肢」と述べ、レースで環境車技術の多様化に挑む。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞4月24日掲載