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2021年4月27日

政府、30年の温室効果ガス削減量 13年度比で46%減目標

政府は2030年の温室効果ガス削減量を13年度比46%減に上積みする新目標を設定した。同26%減だった従来目標から7割以上引き上げた。米国主催の気候変動サミットで表明。

サミットに臨んだ菅義偉首相は「さらに(削減量で)50%の高みを目指す」と述べ、日本が「50年(温室効果ガス実質ゼロ化の達成目標時期)に向けた挑戦を絶え間なく続ける」ことを強調した。

その実現に向けて政府はまず、再生可能エネルギーの導入拡大を急ぐとみられるほか、温室効果ガス排出で約2割を占める運輸部門でさらなる対策強化が求められるのが必至。電動化の加速など、自動車産業全体で構造変化を急ぐことになりそうだ。

菅首相は「世界のものづくりを支える国として次なる成長戦略にふさわしいトップレベルの野心的な目標を掲げる」と、46%減に込めた思いを示した。

自動車産業が100年に1度と言われる変革期に入る中、生き残りの鍵を握る脱炭素化技術で「世界のリーダーシップを執る」ことが次代の成長戦略に欠かせないとみている。

しかし、菅首相自身が「決して容易なものではない」と漏らすほど、従来手法では達成が難しいのが実情。これまでの目標だった26%減の達成に向けて、運輸部門は「地球温暖化対策計画」における各項目で進捗状況が良好だった。

しかし、削減目標が上積みされたことで、ゴールが遠のいたことは間違いない。走行段階の温室効果ガス排出がない電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)といった次世代電動車の国内販売実績は、新車全需の1%程度にとどまっている。製造段階の削減とともに、今後、官民を挙げた次世代車の普及促進策が重要になる。

新目標に定めた46%減の内訳は、現段階では明確な提示がない。梶山弘志経済産業相は、新目標の実効策を早急に練り「いずれ正確な数値を公表する」とした。

しかし、30年までと期限が限られることから「現実的にできるもの」を優先していく考え。有力な手段とみるのが太陽光発電。信頼回復に取り組む原子力発電と合わせ、脱炭素エネルギーの割合を少なくとも「5割を超える」ところまで引き上げる考えだ。

脱炭素電力の供給が増えれば、EVやプラグインハイブリッド車にも発電時の二酸化炭素(CO2)排出をゼロにした電力を供給できる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞4月24日掲載