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2021年4月13日

国交省、ヘッドレストの安全基準を強化 試験も厳格化

国土交通省は、ヘッドレストの安全基準を強化する。性能試験に、新たに車両を動かしながら追突させ、ヘッドレストの性能や品質を評価する「動的性能要件」を取り入れる。ダミー人形も用いた実態に近い走行環境による試験で、高い安全性を担保していく。

従来の「静的性能要件」も選択できるが、高さに関する新基準を盛り込むなど、これまでより試験を厳格化する。国交省では6月上旬をめどに、保安基準を改正したい考え。

新たな基準を満たすヘッドレストの搭載は新型車で2022年4月以降、継続生産車は26年9月以降の車両について義務化していく予定だ。

新たな保安基準が導入されると、自動車メーカーは2種類の方法からヘッドレストの性能試験を選べるようになる。新設する動的性能要件ではダミー人形を搭載した試験車両を動かしながら、後方からもう1台を衝突させる。

実際の追突事故のような環境で評価するとともに、従来の静的性能要件では使用していなかったダミー人形も活用する。人体にかかる衝撃をきめ細かく測れるダミー人形により、首にかかるダメージを詳しく測定することで、高い安全性能を満たすヘッドレストの標準化につなげる。

一方、継続する静的性能要件についても新たな評価を追加する。事故などの衝撃を受けた際に、ヘッドレストが変形しても一定の高さを保てるようにしていく。大幅にヘッドレストが変位することを防ぐ新たな基準を取り入れることで、高い頭部保護性能を担保する。

今回の保安基準見直しは、昨年の国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の採択を受けて実施するもの。交通事故では頭部へのダメージが悲惨な結果を招くことが多いため、ヘッドレストに対する安全性能を世界的に高めていく狙いとみられる。

国交省では「パブリック・コメント」などを通じて、自動車業界の意見も参考にしながら、保安基準の改正に取り組む方針だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞4月9日掲載