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2021年4月6日

サプライヤー各社で入社式 未来を切り拓く〝電動力〟に

自動車部品サプライヤー各社は1日、新型コロナウイルス感染下では2年目となる入社式を各地で実施した。昨年に続いて感染拡大防止の観点から参加人数を絞ったり、オンラインでの実施も相次いだ。

電動化や自動運転などによって自動車の技術革新が進む中、サプライヤーの一部では生き残りに向けて事業構造改革を急いでいる。注目されるサプライヤーの入社式で、新入社員に対する経営トップの訓示は…。

CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)やMaaS(サービスとしてのモビリティ)によって経営を取り巻く環境が大きく変わる中で、サプライヤーのM&A(企業の合併・買収)や提携など、業界再編が活発化している。

入社式と同時に、アイシン精機と子会社アイシン・エィ・ダブリュ(AW)が経営統合したアイシンが1日に発足した。伊勢清貴社長は社員に向けたメッセージで「従来のオートマチックトランスミッションが将来的にはなくなることがほぼ確実であり、二つの会社に分かれている意味はなくなった」と断言。

その上で「CASEに対応できる事業構造への変革や、企業としての経営体質強化のため2社は合併する」と理解を促した。新会社1期生に向けては「新たな発想、新鮮な目線で仕事に取り組み、アイシンを変えていく存在になってほしい」と述べた。

来年4月に持株会社に移行するパナソニック。6月に社長に就任する予定の楠見雄規氏が1日付けで最高経営関責任者(CEO)に就任した。

入社式では津賀一宏社長が持株会社の狙いについて「各事業の自主責任経営を徹底して自らの競争力を高めるとともに、グループ全体で長期視点での成長性を確保していくということ」と強調した。

中国などの新興タイヤメーカーの低価格製品の攻勢を受けて業績が悪化したため、グローバルで工場の4割を閉鎖する一方で、高い収益が見込まれるデータを生かしたソリューションビジネス重視を打ち出したブリヂストンの石橋秀一グローバルCEOは「コア事業であるタイヤ事業を強化、成長事業であるソリューション事業を拡大、さらにリサイクル事業などを探索事業としてスタートさせる」と決意を示した。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、業績不振で私的整理の一種である事業再生ADRを申請し、経営再建中のサンデンホールディングスの西勝也社長は「新エネルギー車に向けて統合熱マネジメントのソリューションを提供する企業へと進化する」と決意を表明、事業再生ADRには触れなかった。

「虎の子」と呼ばれた地図子会社インクリメント・ピーの投資ファンドへの売却を決断したパイオニアの矢原史朗社長は「データを活用して未来の移動をより安全で快適、スマートなものに変えていく」と淡々と語った。

将来的な普及が見込まれる自動運転時代、「前方を照らす」以外の役割が求められると想定するランプメーカー小糸製作所の三原弘志社長は「配光を自動でコントロールするADB(ハイビーム可変ヘッドランプ)に加え、ライダーや全天候カメラなど自動運転技術をサポートする次世代製品の開発を強化している」と、脱ランプメーカーを新入社員に説いた。

カーボンニュートラル社会実現に向けた自動車の電動化や、自動運転技術の急激な進化などによって、自動車関連のビジネスモデルは大きく変わる可能性がある。

業界に吹き荒れる嵐の中、あえて正面から飛び込むことを決めた若者が、サプライヤーが未来を切り拓く〝電動力〟になるかもしれない。

カテゴリー キャンペーン・表彰・記念日
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞4月2日掲載