2021年4月2日
トーヨータイヤ EV専用タイヤ、日欧連携で開発加速
トーヨータイヤは、日欧の研究開発拠点の連携を強化して、電気自動車(EV)専用タイヤの開発に乗り出す。ドイツにある研究開発(R&D)センターで、EVの特性にあわせて耐摩耗性や静粛性などを向上したタイヤを開発するための材料を研究する。
日本のR&D拠点に材料解析データをフィードバックするなどして高性能なEV専用タイヤの開発リードタイムを短縮する。市場拡大が見込まれるEV向け製品を拡充して、事業拡大を図る。
大容量バッテリーを搭載するEVは、同じサイズでも車両重量が内燃機関車より重くなる。このため、EV向けには、タイヤの素材となるゴムに強靭性や耐摩耗性などが求められる。
また、エンジン音がしないことからタイヤ転がり時の音が目立つため、高い静粛性や、航続距離を伸ばすため、転がり抵抗が低いことも求められる。
同社では、これら要求に対応するEV専用タイヤの開発に向けて、まず材料・素材の研究に注力する。ドイツにある欧州R&DセンターでEV専用タイヤに適した材料を研究する。
同社は2019年11月に同センターを設立した。材料の評価試験設備を導入しており、材料配合や工法などの材料基盤技術の確立を図っている。欧州自動車メーカーなどのEV関連情報も収集し、研究開発部門にフィードバックしている。
欧州開発センターでの研究結果は、グローバルでのR&Dの司令塔である国内の専門チームに引き継ぐ。日本と欧州のR&D拠点が連携することで、開発期間を短縮し、市場ニーズの高い製品を迅速に市場投入する体制を整える。
日本国内でも政府が30年代半ばに新車の100%を電動車両にする方針を打ち出すなど、国内市場でもEVが段階的に普及する可能性があることから、市場の変化を先取りしていく。
同社では、EV向け事業としてタイヤに先行して振動を抑制するマウントなど、ゴム部品の最適化について自動車メーカー各社と協力しているという。市場の急拡大も予想されるEV関連ビジネスに積極的に取り組むことで、将来的な事業拡大を目論む。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞3月25日掲載