2021年4月1日
20年の車載用リチウムイオン電池 世界出荷容量25%増
2020年の車載用リチウムイオン電池の世界出荷容量は前年比25・9%増の167・5㌐㍗時-。矢野経済研究所(水越孝社長、東京都中野区)が発表した「車載用リチウムイオン電池世界市場に関する調査」で、電動化車両「xEV」の市場の伸びに合わせて車載用電池市場が着実に拡大している状況が浮き彫りになった。
20年は新型コロナウイルス感染症の影響で自動車の世界販売は減少したが、xEVに限れば欧州、中国を中心に前年を上回り、電池需要を押し上げた。また、30年の出荷は最大で20年比10倍超の1809・2㌐㍗時になると予測した。
車両タイプ別の出荷推定は、ハイブリッド車(HV)向け前年比20・3%増の2・36㌐㍗時、プラグインハイブリッド車(PHV)向け同83・6%増の17・0㌐㍗時、電気自動車(EV)向けは21・6%増の同148・1㌐㍗時。PHVの伸びが目立った。
xEV全体では欧州と中国が前年を上回り、HVは欧州、北米、中国で販売台数が伸びた。PHVについては欧州がけん引した。また、EVはテスラ「モデル3」が前年に引き続き販売が伸長。一方、中国では電池容量が小さい〝低容量EV〟の販売が大きく伸びたとしている。
同調査では将来展望として、成長率を高めに見る「政策ベース予測」、成長率を厳しく見る「市場ベース予測」の2つのシナリオで成長を予測した。政策ベース予測では、25年に835・1㌐㍗時、30年には1809・2㌐㍗時とした。xEVの導入を妨げる充電インフラの課題が解決され、専用プラットフォームでの量産規模の拡大などで、車両価格も内燃機関(ICE)車に近づき、PHV、EVの大衆化がある程度進むことを前提に予測した。
その一方、市場ベース予測では、25年が422・9㌐㍗時、30年が764・4㌐㍗時。コロナ禍による経済後退によって自動車市場が落ち込み、自動車メーカー各社はICE車に比べ利幅が少ないPHV、EVの展開が当初の目算よりも難しくなることに加え、消費者の購買意欲が従前の見込みほど高まらないという前提で算出した。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞3月24日掲載