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2021年3月30日

新車より安価に自分のクルマを 中古車サブスクへ関心高まる

中古車を月定額で利用できるサービスへの関心が高まっている。新車よりも安価な料金で自分専用の自動車を持てることが自動車を保有していなかった層のニーズをつかみ始めたほか、納車までのリードタイムが短い点なども新たな契約者を獲得する要因になっている。

短期間での解約が可能なものから、長期契約で料金を抑えたものまで幅広いタイプの商品が市場に登場しているが、多くはインターネットで申し込みを受け付けるのが特徴だ。

コロナ禍で先行きが不透明な中、自動車メーカーや中古車事業者など幅広い企業が中古車を活用した新たな需要の取り込みに動いている。

自動車メーカーで最初に中古車を活用したサブスク型のサービスを始めたのがホンダだ。2020年1月に埼玉県にある1店舗で取り扱いを開始。最短1カ月、最長11カ月と短期間利用を前提にした商品設計が評価され、利用者を増やした。

取り扱い店舗は12都道府県、62店舗にまで拡大。25日時点で専用サイトに掲載する車両は168台で、うち8割が利用中や予約済み。メーカー系販売店という安心感も後押しし、稼働率は高い。

新たに参入するスバルが中古車サブスクで狙うのは、初めての自動車所有を検討する人や転勤先で一時的に自動車が必要になった人など、従来の新車、中古車販売では取り込めなかった層だ。

メンテナンス代や自動車保険も含めて手ごろな価格でアイサイト付き車両を提供することで、保険代が高くなりがちな若者やこれまで自動車を保有していなかったドライバーの需要喚起も期待できる。

自動車メーカー以外も中古車を月定額で利用できる商品に着目している。新車販売チェーンなどを運営するカーベル(伊藤一正社長、東京都中央区)も、20年2月に中古車リースの「コレCARラ」を立ち上げた。

契約から1年後には他車種に乗り替えできるのが特徴。およそ1年で加盟店数が30店舗にまで広がるなど、中古車専業店や整備工場からの関心も高い。

中古車店「ガリバー」を展開するイドムは、16年からサブスクの「ノレル」を開始するなど、いち早く新たな市場の開拓に取り組んできた。強みである豊富な中古車在庫と最短1カ月から利用できる手軽さが受け、サービス開始から今年2月までの累計提供台数は5千台以上になったという。

さらに3月のリニューアルでは長期契約で月額料金を抑えた「コスパノレル」を新たに設定。「長期間使用できるメリットも訴求すれば、さらに根づく可能性がある」(広報担当)と見ている。

ナイル(高橋飛翔社長、東京都品川区)の個人向け自動車リースも、中古車の契約が伸びている。2月の申し込み数は前年同月と比べて8・2倍に膨らんだ。短期間での納車を求めるユーザーや長期間のリースで月額費用を抑えたいドライバーからの引き合いが増えているという。

ニコニコマイカーリースなどを提供するMIC(増田信夫社長、横浜市都筑区)は、2月からネット通販型の中古車リースを始めた。1都6県に限定して開始したところ、月20台のペースで契約を獲得した。

担当者は「手続きや費用が所有するよりも分かりやすい点が評価されている」という。4月中にも対象を全国に広げる計画だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞3月26日掲載