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自動車産業インフォメーション

2021年3月24日

部品メーカーに国内回帰の動き 新型コロナ感染拡大も影響

部品メーカーの一部で国内に回帰する動きが強まっている。ジーテクトは群馬工場(群馬県太田市)に組立ラインの増設を決めた。市光工業は、大分県中津市の工場に最新設備を導入して生産能力を増強する。国内の自動車生産台数は全体的に頭打ちとなっているが、日系自動車各社が系列外からの取引に柔軟になっていることなどから新規受注を見込む。

新型コロナウイルス感染拡大で海外製部品のサプライチェーンが一時、寸断したこともあって、生産体制を見直す動きもある。

ホンダ系サプライヤーのジーテクトは、約17億円を投じて群馬工場に組立ラインを増設する。主にスバル向けの部品を生産するラインとする計画で、高品質な製品を安定的に供給する体制を構築する。

主要納入先のホンダが国内の自動車生産能力を削減している中、非ホンダの事業の拡大に向けて、国内事業に積極投資する。

市光は、子会社の九州市光工業が2020年度から21年にかけて総額12億円の設備投資を実施、最新の射出成型機を導入するなどして、エネルギー消費量を抑制しながら生産能力を増強する。九州域内で自動車生産台数が増加すると想定、新規受注獲得に備える。

市光はヘッドランプを製造する厚木工場(神奈川県厚木市)と、リアコンビネーションランプを製造する藤岡工場(群馬県藤岡市)でも能力増強などを目的とした設備投資を年内に実施する計画だ。

ホンダ系のエイチワンは、29億円を投じて、大分県豊後高田市にプレスと溶接ラインを備えた工場を新設する。既存の中津工場(大分県中津市)からの生産移管だが、これに合わせて事業拡大と生産性向上を図る。

日系自動車各社はここ数年、アジアを中心とした海外の生産能力を増強しており、国内自動車生産台数の成長は見込めない。ただ、電動化や自動運転などによる自動車の変革に対応するため、自動車各社は系列外も含めて幅広いサプライヤーから部品を調達する姿勢に転じている。

また、新型コロナウイルス感染拡大で、一時期、中国などからの部品調達に支障が出て、国内の自動車生産にも影響が及んだ。部品調達リスクを低減する上でも調達先を分散する傾向は強まる。

部品メーカーにとっては、既存でのビジネスの競争激化とともに、新規受注獲得の機会は拡がる。サプライチェーンを多元化する上でも、サプライヤー各社の国内への投資が活発化する見通し。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞3月18日掲載