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2021年3月22日

水素バリューチェーン推進協議会 政策提言、需要拡大と安価供給

水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)は16日、経済産業省に「水素社会実現に向けた政策提言」を行った。トヨタ自動車の内山田竹志会長らJH2Aの3人の共同代表が、梶山弘志経産相に提言書を手渡した。

内山田会長は「水素需要の拡大と安価な水素の供給、さらに横断的な取り組みが中心になっている」と提言の3つのポイントを説明。梶山経産相は「2050年のカーボンニュートラルを目指す上で、水素は欠かせない」とし、JH2Aと連携しながら技術開発や社会実装の後押しに取り組んでいく考えを示した。

提言では運輸部門での需要拡大に向け、燃料電池車(FCV)の新技術開発の支援に加え、商用FCVの高速道路の無料化などの導入支援策が必要と訴えた。

水素ステーション整備の規制緩和などインフラ投資のサポートも重要になるとしている。同時に、自動車だけでなく船舶や鉄道などさまざまなモビリティに実証を広げると同時に、燃料電池の国際標準化に向けて日本がイニシアチブを取るための戦略づくりも必要とした。

また、化石燃料よりも高い価格が水素普及のネックの一つになっていると指摘。当面は資源外交の強化や大量運搬技術の確立に取り組み、海外からの輸入を増やす。これと並行し、国内生産でも十分に対応できる低コスト化技術の確立なども進めることで、調達リスクを軽減していく必要があるとした。

提言を受け取った梶山経産相は、需要と供給双方の課題について「どちらが先というよりも両輪でしっかり進めていくことが重要」とし、一体的に対策を進めていく考えを示した。

また、昨年12月のJH2A設立時に比べて参加企業数が、「民間企業で144社、大学や自治体、研究機関を含めると195社となり、倍以上となっている」とし、「水素に対する関心の高さを改めて感じる」として水素政策に対する手応えについても述べた。

政府は昨年末に策定した「グリーン成長戦略」において、水素を重点分野の一つに位置付けている。一方、海外でも水素に着目する国や地域が増えており、今後グローバルで開発競争が激しくなると見込まれる。

水素を新たな経済成長の原動力につなげるためには、FCVの実用化で先行した日本のリードを保ち続ける必要がある。JH2Aでも引き続き、国際競争力の向上につながる政策づくりに貢献していく考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞3月17日掲載