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2021年3月18日

自工会 自動運転の想定ケース、複雑な走行環境まで拡大

日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)は、2022年度をめどに一般道や自動車専用道を網羅した自動運転車のユースケースを策定する。高速道路の合流地点や幹線道路の信号交差点といった複雑な走行環境にまで検討範囲を広げ、一般車両が混在する中での自動運転車の最適な挙動を示す。

これまで限定的な領域でデータを収集し、各社の商品開発に生かしてきたが、領域を広げることで一般道での自動運転や高速域でのレーンチェンジなど自動運転技術のさらなる高度化を後押しする。

ユースケースは自動運転シーンを具体的に記述したもので、自動運転車がどのような挙動をとれば妥当かを判断する上での基礎資料となる。一般車両や歩行者など他の交通参加者の行動をシミュレーションで再現できるモデルをつくることで、安全なシステム開発につながる。

自工会は、15年6月から自動運転部会傘下の「ADユースケース分科会」で検討を進めている。これまでに高速道路を対象に73ケース、一般道に対しては約60万ケースを体系化してきた。

すでにこれまで収集してきたデータは、日本の自動車メーカーが自動運転レベル3(条件付自動運転)の開発に生かしてきたほか、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)での国際基準策定でも、根拠となる基礎データとして活用してきた。

今後は、各社の自動運転技術のレベルアップに向けて、一般車両や歩行者などが混在するような、より複雑な交通環境を想定したユースケースを策定する。

例えば、首都高など高速道路の合流地点で、自動運転車と他の車両の動き方をシミュレーションし、最適な合流方法を示す。一般道についても幹線道路の信号交差点にも対応する。

22年度をめどに国内の一般道・自動車専用道のユースケースを網羅的に体系化する。将来的な自動運転車の海外展開を見据え、米国や欧州、中国特有のユースケース調査を推進する。

協調領域として、体系化したデータは各自動車メーカーの研究開発に生かしてもらい、一定レベル以上の自動運転機能を搭載した車両の市場投入を後押しする。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞3月9日掲載