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2021年3月11日

トヨタ 福島で「グリーン水素」利活用へ実証実験

トヨタ自動車は、福島県浪江町で製造する再生可能エネルギーによる「グリーン水素」の利活用を推進する実証実験に乗り出す。トヨタが持つ燃料電池車(FCV)を中心とした輸送や蓄電などの水素ソリューションを生かし、世界最大級の再エネ水素製造施設を持つ浪江町や周辺都市での水素利用を後押しする。

実証を行うことで水素の利活用に関わる課題などを検証し、モデルケースを福島県で確立することで、未来の水素都市を全国に広げる考えだ。

トヨタの豊田章男社長は5日、浪江町の水素製造施設・福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)を視察し、「グリーン水素を自動車産業がどう運びどう使うか、という実装に参加させていただきたい」と述べ、福島県内で水素活用の実証を行う構想を明かした。

FH2Rは太陽光発電の電力を用い水を電気分解し水素を製造する施設で、昨年3月に稼働した。年間900㌧の水素製造能力を有するが、同施設は再エネによる水素製造技術確立が目的のため、現時点では製造した水素の活用先が限定的となっている。

トヨタではFCVや燃料電池トラック、燃料電池による定置型電源などの活用を促し、水素消費拡大を後押しする考え。

900㌧の水素を活用するため浪江町のみならず、福島市、いわき市、郡山市にも実証実験を広げる方針。この3市の人口が約30万人であることから、豊田社長は「30万人の規模は日本の自治体の代表例だ。30万人(水素都市)の『原単位』をつくる第一歩となる」と述べ、水素実証で得たノウハウを全国に広げる方針を示した。

実証開始時期は明らかにしなかったが、福島県や各市町と調整を進めると同時に参画する企業も募る。東日本大震災と福島第一原発事故から10年の節目を迎えるに当たり、水素社会の実現を通じて復興支援につなげる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞3月8日掲載