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2021年3月10日

福島県と浪江町、新型ミライを公用車に 水素社会推進へ弾み

福島県(内堀雅雄知事)と福島県浪江町(吉田数博町長)は1日、福島市の福島県庁で燃料電池車(FCV)「新型ミライ合同納車式」を開催した。

福島県は原発事故に見舞われたが、2040年までに県内のエネルギー需要100%相当分を再生可能エネルギーで生み出す「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」を展開している。

浪江町は、20年3月に「ゼロカーボンシティ」を宣言した。公用車としてミライを導入することで、県民に広くそれぞれの取り組みの理解促進を図るとともに、水素社会の早期の実現に向けた再エネ推進に弾みをつける。

原発事故から間もなく10年。福島県は「再生可能エネルギー先駆けの地」の実現に向けて官民による取り組みが進んでいる。20年6月には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と県との間で「低炭素水素の利活用拡大に関する協定」を締結した。

NEDOと企業3社が20年3月に浪江町に開所した「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」で製造した水素を、福島市のあずま総合運動公園と楢葉町のJヴィレッジに県が設置した純水素型年燃料電池に供給して電力供給を行っている。

FCVについては、19年度に公用車としてミライを導入。今回、2台目のミライの納車となった。

浪江町は、FH2Rの開設にあわせてゼロカーボンシティを宣言した。宣言には公用車としてFCVの導入が盛り込まれており、水素の利活用に向けて多くの企業が実証事業に参画している。

合同納車式には、内堀知事と吉田町長のほか、ネッツトヨタ郡山の小室保人名誉会長と小室和人社長、トヨタカローラいわきの河口利夫社長、NEDOの佐藤嘉晃理事ら関係者が出席した。納車された2台のミライは、FH2Rで製造した水素が充填された。

内堀知事は「過酷な原発事故に見舞われたが、水素社会を作り上げることが福島県と日本全体が再生可能エネルギーを増やすために必要だ。今回納車されたミライは、世界トップレベルの水素技術が凝縮されており、メイドイン福島の水素が充填されている。今後、新型ミライを県内のさまざまな場所で活用し、水素社会実現に向けて前に進んでいることを多くの方々に知ってもらいたい」と挨拶した。

吉田町長は「水素社会の実現に向けてFH2Rを介して取り組んでいる。これから、町民にもFCVを体験してもらう環境を作っていきたいと考えている。ゼロカーボンシティと水素社会実現のために、チャレンジしていきたい」と話した。

トヨタ販売会社を代表してネッツ郡山の小室社長は「モビリティに留まることなく、定置式燃料電池の普及などにも協力していきたい。これまでの10年は復興に取り組んできたが、これからの10年はカーボンニュートラル社会の実現に向けて皆さまに力を発揮していただいている。私どもも協力できるよう努力していきたい」などと挨拶した。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞3月4日掲載