新型コロナウイルスの影響で2020年暦年の新車需要は大きく落ち込んだが、世界電動車販売は好調に推移した。トヨタ自動車は200万台に迫る電動車を販売し、世界販売全体に占める構成比が初めて2割を超えた。

ホンダは前年比22・9%増と大幅に伸長し、構成比が初めて1割を超えた。それぞれ電動車販売の95%以上を占めるハイブリッド車(HV)がけん引し、特に北米やアジアなどで販売を伸ばした。

非電動車を含む20年世界販売台数はトヨタが同10・5%減の約869万2千台、ホンダが同13・9%減の約446万台だった。これに対し、電動車の販売はそれぞれ同1・9%増の約196万台、同22・9%増の約48万4千台となった。

電動車の構成比が従来から高い国内販売はコロナ禍の影響で減少したものの、海外販売はトヨタが同10・8%増、ホンダが同52・3%増となり、大幅に増加した。

けん引役はHVだ。トヨタは「カムリ」「RAV4」「ハイランダー」などが好調だった北米のHV販売が同22・2%増加。中国でもRAV4のHVが増加し、アジア全体で同25・0%増となった。

ホンダは、6月に発売した小型セダン「クライダー」のHVが好調に推移し、中国のHV販売が同67・6%増と大幅に増加。中国のHVが20万台を超えたのは初めて。

欧州も二酸化炭素(CO2)排出規制に対応するため、「ジャズ(日本名:フィット)」をはじめ、電動車の商品投入を急いだ結果、HVが同84・1%増と大幅に伸びた。

両社とも現時点では電動車販売の大半をHVで構成するものの、カーボンニュートラルの機運が高まる中で、今後はHV以外の電動車の存在感も急速に大きくなってきそうだ。

ホンダは初の量産電気自動車(EV)である「ホンダe」を日欧に投入したほか、中国での「理念VE―1」や「X―NV」が好調に推移し、20年のEV販売が約1万4千台に増加。さらにゼネラル・モーターズ(GM)との提携などを通じてEVの商品ラインアップ拡充を進める構えだ。

トヨタも小型EVモビリティ「シーポッド」や燃料電池車(FCV)の新型「MIRAI(ミライ)」を発売したほか、21年には米国にEV2機種とプラグインハイブリッド車(PHV)1機種を導入する。電動パワートレインの選択肢が広がることで非電動車からのシフトが加速するとみられる。