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2021年3月3日

トヨタ紡織 MaaS想定の車室空間開発、愛知で実証

トヨタ紡織がMaaS(サービスとしてのモビリティ)を想定した車室空間の開発に取り組んでいる。このほど愛知県で行われた実証では、自社開発の「MOOX(ムークス)」と第5世代移動通信システム(5G)を組み合わせ、自車位置に応じた観光情報や広告を乗員の反応を見ながら拡張現実(AR)を駆使して提供した。

今後はこうした空間制御技術を将来的に自動車メーカーへ提案したり、テーマパークや観光地、スマートシティーなどで利用してもらう考え。

同社は、自動で走る電動ゴルフカートに脱着可能な内装やシート、テーブルなどを組み込んだムークスを、4年前の東京モーターショーや昨年の米コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)などで披露した。

2月に愛・地球博記念公園(愛知県長久手市)で行われた愛知県の実証事業では、初めてムークスを走らせながら、車窓にAR映像を投影し、音響や振動、香りをもたらす装置や、試乗者のジェスチャー(動作)にも呼応した情報提供を実験した。

デジタルサイネージとしての活用のほか、夜間にプロジェクションマッピングをヘッドライトから車外に投影するなど、エンターテインメントの可能性も探った。

車室空間企画開発部の林伸樹グループ長は「私有地など限られた場所でどのように利用できるか、今回の実験を通じて一般の声を集めて反映していきたい」と話す。

トヨタ自動車系シートメーカーである同社は、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展に合わせ、車室空間全体を請け負うシステムサプライヤー、さらに自動運転をにらんだ「インテリアスペースクリエイター」へと事業領域を広げる構想を持つ。今後もムークスなどを通じ、車室空間の可能性を探る考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月24日掲載