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自動車産業インフォメーション

2021年2月25日

30年の水素需要は年11万㌧ 中部圏水素利用協議会が試算

トヨタ自動車、岩谷産業など11社による「中部圏水素利用協議会」は19日、2030年に中部圏で年間で約11万㌧の水素需要が見込めるとの試算をまとめた。国が目指す水素供給量の約3分の1に相当する。

ただ、初期投資に1千億円ほど必要な上、政府のコスト目標(30円/ノルマル立方㍍)を達成したとしても年間200億円程度の〝赤字〟になる計算で、同協議会は国の支援や技術開発などの取り組みが引き続き、必要だとしている。

水素需要のうち全体の約8割が発電と石油精製・石油化学向けで、燃料電池車(FCV)向けや自家発電用の需要は2割弱だ。FCV向けは30年に80万台を普及させる全国目標のうち、中部圏で2割のシェアを前提にした。

また今回は、新たなカーボンニュートラル技術である水素還元製鉄用や、二酸化炭素と反応させてエネルギー源とする「ガスメタネーション」用の需要は試算から外した。

同協議会は「こうした水素の活用を実現するには、初期投資やランニングコストの逆ザヤを補う制度設計や主要需要家の長期引き取り契約、安定的な水素供給の確約が必要だ」としており、他団体との連携と併せ、国などに働きかけていく考えだ。

国が4年前にまとめた「水素基本戦略」では、30年頃に商用サプライチェーン(供給網)を構築し、全国で年間30万㌧程度の水素利用を目指している。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月20日掲載