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自動車産業インフォメーション

2021年2月12日

日産と三菱自 使用済みEVバッテリー、再利用加速

電気自動車(EV)などの普及に伴う中古電池の流通量の増加を見据え、日産自動車と三菱自動車が使用済みバッテリーを再利用する技術開発や市場創出を加速している。

日産は総合研究所と連携して電池の劣化具合を短期間で把握する技術の確立を目指す。定置用でコスト競争力を確保するなど、事業拡大の可能性も出てきた。

三菱自はプラグインハイブリッド車(PHV)「アウトランダーPHEV」の使用済み電池を活用した蓄電システムを4月に岡崎製作所(愛知県岡崎市)で本格稼働する。車載電池の二次利用が広がることで、将来的にEVのコスト低減につながりそうだ。

EVなどに搭載される大容量電池は、新車での役目を終えた後もフォークリフトや再生可能エネルギー導入拡大を後押しする定置型電池などに再利用できる。ただ、リユースバッテリー市場の規模がつかめないことや電池の寿命・安全性の確認などが課題として挙がる。

日産は、初代「リーフ」の発売に先駆けて2010年に住友商事と共同で電池の二次利用に関する合弁会社フォーアールエナジー(牧野英治社長、横浜市西区)を設立し、効率的な電池の再生技術の開発を進めている。

18年には使用済みリチウムイオン電池の再利用・再製品化に特化した工場を福島県浪江町に開所した。

再生した電池はEV向け交換用電池をはじめ、電動フォークリフトや大型蓄電システム向けなどに提案している。

中古電池の再生事業から10年が経過する中、土井三浩常務執行役員は「相当いろいろなビジネスの仕組みが見えてきた」と手応えを示す。二次利用先の一つである定置用では「EVから持ってきたバッテリーでビジネスをする競争力がある」という。

同時に、再生技術の進化も進める。車載電池の再利用に当たっては、車載電池の寿命や劣化具合を適正に評価する必要がある。日産は総合研究所と連携して短期間で検査できる技術を確立し、コスト低減と事業採算性の向上を目指す。中古電池の二次・三次利用が広がれば「EVのコスト低減に反映できる」(同)とみる。

三菱自は、三菱商事、三菱商事パワーと共同で電動車のリユース電池を活用した蓄電システムを岡崎製作所に導入した。太陽光で発電した電力を最大1㍋㍗時容量の同システムに蓄電。

二酸化炭素(CO2)排出量を年間約1600㌧削減するとともに、電力消費のピークカットを狙う。三菱自主力のPHVのアウトランダーPHEVの使用済み電池を有効活用した取り組みで、4月に本格稼働する予定。

また、現在はVPP(バーチャルパワープラント)の実証試験を実施している。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月4日掲載