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2021年2月12日

東タク協、LED灯で車内消毒 コロナ対策用に開発

東京ハイヤー・タクシー協会環境・車両資材委員会の根本克己委員長(境交通社長)は、大学や自動車用品メーカーとともに開発を進めてきた新型コロナウイルス対策のためのタクシー車両用LED灯を、自動車会館(東京都千代田区)でハイタク専門紙関係者に公開した。

新型コロナウイルスが市中にまん延する中、開発者らは新商品が「タクシーは安全な乗り物」との認識を広げる一助になればと期待している。

公開には根本委員長のほか、開発と販売を手掛ける自動車用品メーカー、ジュナック(同三鷹市)の荒井直行代表取締役、開発助言を行った電気通信大学大学院(同調布市)の石垣陽特任准教授らが同席した。

新商品は、車内天井に取り付けた発光ダイオード(LED)灯から強力な紫外線(UV)を後部座席に向けて照射し、ウイルスを不活化する。UVは照射後に有害成分が残らないため、環境や人体に優しい。光触媒施工やオゾン発生装置設置により、消毒効果がさらに高まる。

シフトレバー横に設置したスイッチを押すだけで作動する。車内消毒していることは、LED灯横のパイロットランプの色の変化や「車内消毒中」の文字が光る車外向け表示灯で示す。

一方で、人体への直接照射は有害なので、照射は「空車時」「パーキングブレーキオフ」「全閉扉」「人感センサー不作動」の4条件がそろって初めて実行できる。つまり、乗客がいない走行中に消毒が進む。

価格は2万円(消費税別)から。国土交通省に補助金対象にするよう交渉中という。

対応車種はジャパンタクシー。セダンでは角度的に運転手にも照射されてしまうため、3者は今後、セダン用の開発を進めるとともに、太陽とほぼ同じくらいの波長になる別のUVと光触媒を組み合わせた商品を勧めている。

根本委員長は、有害物質が残る恐れのある薬剤噴霧に代わる方法としてUV照射に着目。昨春に知り合いの荒井代表取締役、石垣特任准教授に相談して開発を進め、今回の商品化にたどり着いた。

現在、タクシー用コロナ対策商品は各社がさまざまな種類を販売している。

根本委員長は全国のタクシー事業者に対し、「『タクシーは安全』を社会的に認知してもらうことが最終目的。うち(境交通)だけでやっても意味がない。全国に広めるために価格を抑えた」と話し、新商品を各社の選択肢の一つに加えてもらうなど、業界全体で感染防止に取り組んでいくことの重要性を強調した。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月8日掲載