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2021年2月9日

車工会、オンラインで技術発表会 電動化へ競争と協調

日本自動車車体工業会(車工会、木村昌平会長)は、「第14回技術発表会」を開催した。新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発令を受けて、今回は発表者を含めてオンラインでの開催となり、全国から約600人が参加した。

車工会中央技術委員会の加藤幹章委員長(新明和工業)は「2030年代半ばにガソリン車を電気自動車(EV)に切り替えるという政府の方針が出された。働くクルマはほとんどがディーゼル車だ。さらなる技術革新が必要となる」とした上で、「技術の変革にあたっては、競争分野と協調分野がある。車工会としてはそれらのバランスを取りながら底上げを図っていかなければならない」とした。

極東開発工業は、特装車のサービス支援システム「K―Dass」の開発について紹介した。IoT(モノのインターネット)基盤を利用し、特装車の稼働状況を記録・蓄積するもの。

車両に不具合が発生した場合や部品の交換時期が迫っている際などに、専用アプリを通して迅速に対応できる仕組みを構築した。今後は対応機種の追加のほか、収集したデータを設計開発へフィードバックすることも視野に入れて検討中とした。

トヨタカスタマイジング&ディベロップメントは、新型警告灯「アクティビーコン」の開発背景について説明した。アクティビーコンは、車両の状況に応じて変化する3つのモードで点滅が変化する。

近年、救急車両の出動回数は増加傾向にあり、走行中や救助活動中の現場で事故が起きる事例が発生している。そこで、同社では状況に応じた最適な輝度で周囲が救急車両を認知できるように開発した。

同製品には光学解析などを活用して官能評価を繰り返し行い、製品化に至った。開発本部特殊技術部の井上博喜氏によると「今後は特殊車両の光学製品への応用を検討している」という。

日産車体は「塗装工程における高技能者育成に向けた磨き作業の定量化」と題して、同社の人材育成について紹介した。昨今、高技能者の高齢化により、世代交代に向けた人材育成が課題となっている。

高技能者を育成するためには、ベースとなる基本技能を習得し、一人立ちさせることが重要となる。しかし、基本技能の1つである磨き修正は時間がかかり、人によって技術にばらつきが出てしまうという課題があった。

磨き作業は、塗装完了後に塗膜面に入り込んだ異物を除去し、表面を磨き上げるというもの。日産車体では、平均3・5カ月かかっている磨き作業の習得を2カ月で習得できるように、ベテランの作業を定量化し、育成に反映することで訓練の質を高めている。

今後同社は、技術レベルをより向上させるため、さまざまなボディー形状に合わせた作業の測定・データ化に取り組んでいく。生産技術統括部の鈴木健嗣氏は「作業軌跡ガイドの表示や採点モードの追加など、市販品にはない機能の追加を目指してシステムを内製で開発中だ」とした。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月6日掲載