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自動車産業インフォメーション

2021年2月8日

インポーター各社 情報発信拠点活用、ブランド力アピール

インポーター各社がブランドイメージの発信強化をねらい、様々な施策を展開している。各社は、都内を中心にブランドの魅力、情報の発信を念頭に設計した拠点を相次ぎ開設。その多くは車両販売を行わず、活動を車両展示や試乗といったプロモーションに絞ったことが特徴だ。

従来、ユーザーには輸入車ディーラーに対し「車両の購入意志がなければお店に入りにくい」という意識があるため、ブランドの訴求機会が限られがちとされてきた。

こうした課題を解消するため、気楽に車に触れてもらえる場所を用意して、ユーザーにブランドを身近に感じてもらうことを目指している。

ブランド発信拠点の設置でいち早く成果を上げたのがメルセデス・ベンツ日本(MBJ、上野金太郎社長、東京都品川区)だ。同社はダイムラーが世界展開する「メルセデス・ミー」に先駆け〝日本発〟のブランド発信拠点「メルセデス・ベンツコネクション」を都内に2011年開設した。

ユーザーにブランドを身近に感じてもらえるよう施設をフル活用した成果は、20年に外国メーカー車のブランド別販売台数で6年連続首位を獲得したことに示される。

気軽にユーザーが来店できるようレストランを併設した上で、手頃な価格と上質なメニューでリピーターを着実に増やすなど努力を積み重ねた。その活動と300万円台で購入可能な「Aクラス」のようなモデルの設定が相乗効果を発揮し、新たな顧客開拓につながった。

この事例を受けて、輸入車各社によるブランド発信拠点の開設が本格化、アイデアを競うようになった。

アウディジャパン(フィリップ・ノアック社長、東京都品川区)は先月、東京都港区に「アウディ・ハウス・オブ・プログレス・東京」を開設した。

独アウディグループが展開に着手した次世代型ブランド発信拠点としては世界初の施設で、5月末まで期間限定でオープンする。拡張現実(AR)など最新のデジタル技術を駆使して、ブランドが目指す世界観を再現したところが見所となる。

ポルシェジャパン(ミヒャエル・キルシュ社長、東京都港区)は、今夏「ポルシェ・エクスペリエンスセンター(PEC)東京」を千葉県木更津市にオープンする。

その目玉は2・1㌔㍍の周回コースで設備投資額は約50億円。老舗スポーツカーブランドのポルシェの性能を施設名(エクスペリエンス、体験)の通りに体験してもらうため、大型投資に踏み切る。

アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパン(ダビデ・スフレコラ代表、東京都品川区)は、昨年10月末に「THE LOUNGE TOKYO(ザ・ラウンジ・トーキョー)」を東京都港区六本木に開設した。

ブランド発信拠点では米国に次いで2カ所目となる。施設内には、内外装などユーザーこだわりのランボルギーニ車をつくりあげるカスタマイズ専用スタジオも併設する。

ボルボ・カー・ジャパン(VCJ、マーティン・パーソン社長、東京都港区)は、ブランド発信拠点を単なる情報開示の場所にとどめず、デジタルツールを活用した顧客体験を提供する施設とする考えだ。

今後、ボルボが描く「電動化」をデジタルと実際のエクスペリエンスの両面でアピールする拠点としてコンテンツを充実していく。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月4日掲載