2021年2月3日
政府、グリーン成長戦略具体化 温室ガス50年に実質ゼロ
政府が目指す温室効果ガスを2050年に実質ゼロとする目標に向け、経済産業省や環境省など関係省庁が「グリーン成長戦略」の具体化に動き出した。
梶山弘志経済産業相は1月26日の閣議後会見で、「カーボンプライシングについての研究会を2月中旬に開始する」と表明。環境省も中央環境審議会の「カーボンプライシングの活用に関する小委員会」を約1年半ぶりに開催することを決めた。
両省に加えて金融庁も入って、脱炭素化に向けた投資を促す「トランジション・ファイナンス」の検討会も1月27日にスタート。関係省庁の連携強化で、経済成長も図れる環境政策を探る方針だ。
梶山経産相は新たな研究会について、「炭素税や排出量取引制度のみならず、国境調整措置やクレジット取引なども含め、幅広い議論を行う場とする」考えを示した。また、小泉進次郎環境相は再開する小委員会について「産業界をはじめ幅広い委員が参加しており、賛否を含めて有意義な議論をしてほしい」と語り、期待感を込めた。さらには、「今年中に一定の取りまとめをしたい」との考えも示した。
同小委員会にはこれまで、「関係省庁からの出席はなかった」というが、今回からは「経産省がオブザーバーとして参加する」ことも小泉環境相が明らかにした。経産省の研究会にも環境省がオブザーバー参加することが決まっている。
菅義偉首相はカーボンプライシングについて、経産省と環境省が協力して進めるよう指示を出しており、今後もこうした会議体だけでなく、閣僚間や事務レベルでの協議を深めて具体化を探っていくものとみられる。
一方、自動車をはじめとする産業界は脱炭素化に向けた取り組みの加速について異論は少ない。しかし、性急な政策転換などが行われれば足元の業績だけでなく、将来戦略にも影響が出る恐れもある。
カーボンプライシングの導入をはじめ、将来の企業や経済の成長につながるような制度設計になるよう、自動車産業も大きく声を上げていく必要がありそうだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞1月27日掲載