2021年2月1日
国交省自動車局長 事業用車両、降雪路で安全運行確保を
国土交通省の秡川直也自動車局長は日刊自動車新聞などの取材に応じ、降雪路で事業用車両などが「タイヤチェーンを装着する目安や基準づくりに向けた勉強を進めている」ことを明らかにした。
冬用タイヤにチェーンを組み合わせれば高い走破力を期待できる一方、頻繁な着脱にはドライバーに負荷がかかる。気象条件や路面環境などに応じてチェーンの必要性を示せれば、乗員の負担を軽減しつつ効果的に道路交通の機能維持を図れる可能性がある。
基準など導入の可否を含めて検討に入っている。秡川局長は「赤羽一嘉大臣とも話し合っている」とし、作業を急ぐ考えだ。
自動車局では、トラックやバスに冬用タイヤの残り溝の基準を示すなど降雪路での安全運行につながる施策を次々に打っている。今冬の記録的な大雪により、高速道路などで車両の立ち往生が相次いでいるためだ。
昨年12月の関越自動車道や今年1月の北陸自動車道では、数日にわたって交通が寸断するなど国内の人やモノの流れに大きな影響を及ぼした。
祓川局長は「気象庁の情報を自動車運送事業者だけでなく、荷主にも伝え、経路変更や運航中止などを判断できる情報提供も検討している」とし、荷主を含めた冬道での危機管理策の充実に取り組む姿勢を示した。
また、一連の立ち往生では車両滞留の原因は先頭車両のトラックにあるとされていたものの、「調べてみると、関越道の一件では本体の渋滞と関係ないところで止まっていた」ほか、高速道路会社の指示で停車したまま動けなくなったケースも確認されたという。
冬用タイヤに加え、「チェーンを携行している事業者も多く、ちゃんと対策を取っている印象はある」とも述べた。国交省では安全管理を怠った事業者に行政処分を科す方針だが、あわせて、十分な対策を取っているドライバーや事業者を支える制度づくりにも取り組んでいく。
このほか、自動車行政のデジタル化に向けては、河野太郎行政改革担当相とともに「前向きに取り組んでいこうと、ずっと議論している」ことも明かした。
国交省では2023に車検証の電子化を予定するなど、デジタル対応強化に向けた取り組みを進めてきた。今後も「一歩先をみて、チャレンジしていく」方針だ。
さらに、菅義偉首相が示した35年までに国内の新車販売を全て電動車化する目標については、「できる目標だと思って取り組んでいく」との受け止めを述べた。
商用車はロードマップなどの具体策を今夏までに検討することになっている。航続距離や充電インフラ、車両価格などで不利な条件が多い商用車は「マイカーの電動化とは違った課題がある」と指摘。
しかし、「あと14年あれば相当な技術開発が進むのではないか」として、達成に期待感も示した。一方で「部品も根本的に変わり、整備の対象や内容が変わることは避けられない」とさまざまな変革を予測し、「これに対応できるようにわれわれも取り組んでいく」とした。
新型コロナウイルス感染症のワクチン輸送については、「具体的なオーダーはないが、いつでも寄与できるようにしている」とした。
ワクチン本体だけでなく、「超低温冷蔵庫やドライアイスを全国の接種会場に運ぶニーズも出るのでは」とし、要請があり次第、対応できるよう物流業界との連携も進める考えだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞1月29日掲載