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2021年1月27日

ホンダ、自動運転「レベル3」 取扱販社へ設備整備求める

ホンダは、レベル3の自動運転技術「ホンダセンシングエリート」が搭載される予定の高級セダン、新型「レジェンド」を取り扱う販売会社に対し、特定整備制度で定めるより厳しい基準を満たす電子制御装置整備向け作業スペースの確保を求める。

国の基準に対して3・5倍の広さを持つ屋内作業場を必要とするほか、高さについても基準を設ける。レベル3の自動運転には、前方に加えて後方や横方向の障害物もセンサーで検知する必要がある。より精度の高いエーミング(機能調整)作業のため、厳格な作業が可能な広さと設備の整備を求める。

ホンダセンシングエリートのエーミング作業に必要なスペースは、屋内で縦9㍍、横6㍍の水平な地面としたほか、高さも2・5㍍以上が必要と定めた。また、国の基準では定めていない地面の平滑さについても「突起物は床面から2㌢㍍以内」と独自の基準を設けた。

ホンダセンシングエリートから搭載するLiDAR(ライダー)のエーミングには専用のターゲットボードが必要となる。ただ、既存の整備機材と比べて高額なため、メーカー直轄のサービス技術センターなどに設置し、各販売会社が必要に応じて有償で借用できる体制を敷く。マルチパーパスカメラとミリ波レーダーは従来機種と同じ器具で調整できる。

自動運行装置の整備が可能な特定整備の変更手続きに必要な「技術情報提供証明書」もホンダが販売会社に対して発行する。また、拠点の整備主任者にはホンダが行う新型レジェンド専門のサービス研修の受講を義務付ける。

受講できるのは1級自動車整備士、2級自動車整備士でホンダブランド内の「ADAS研修プログラム」を受講済み、もしくはホンダサービスエンジニア検定1級、同2級を取得している整備士のみとした。

大都市圏のディーラーでは、要件を満たす作業場を既存拠点の工場内で確保できず、レジェンドの取り扱いを見送ったという声もあった。埋め込み式のリフトを備えた複数のピットを横断的にまたいで利用し、スペースを確保しようとする販社もある。

また、レジェンドに関するサービス研修は昨年12月までに完了の見込みだったが、新型コロナウイルスの流行などが影響してスケジュールに遅れが生じている。直営ディーラーから順に研修の受講を進めるが、緊急事態宣言の発令の影響も懸念されそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞1月19日掲載