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2021年1月25日

自販連 会員同士で中古車融通へ、専用サイトに掲載

日本自動車販売協会連合会(自販連、加藤和夫会長)は、会員間で中古車情報を共有、取引する新たな仕組み作りに着手する。自社で小売りしにくい車両などを会員専用サイトに掲載してもらい、全国の会員が仕入れられるようにする。

これまで取引のなかったディーラー同士でも全国規模で中古車を売買できる場を用意することで、会員のビジネスチャンスを創出していく狙いだ。

中古車オークション(AA)など卸売りに出す前の車両情報を、全国の自販連会員に告知できるようにする。新車ディーラーでは、下取りによる中古車在庫の量が過剰になったり、自社で小売りしにくい車両が発生した場合、AAで売却して換金するのが一般的だ。

こうした中、下取り、買い取り後にいち早く会員間で取引できる仕組みを自販連が構築できれば、会員の中古車ビジネスの効率化、収益拡大につながると期待される。

実際の取引は、代金決済も含めて会員同士が直接行うルールとなる見込みで、自販連は情報を掲載するプラットフォームを提供する役割のみを担う。具体的な仕組みや開始時期などは、2021年事業として中古車委員会などで協議していく計画だ。

乗用車だけでなく、大型車の流通活性化にもつながりそうだ。ユーザーの用途に応じて架装を施したトラックなどは、流通経路も少ない。

販路が限られる車両でも全国のディーラーを対象に簡単に情報を公開できる場ができれば、「売り手、買い手ともにビジネスチャンスが広がる」(大型車ディーラー社長)との声もあり、会員から一定の需要が見込める。

また、自然災害後に中古車需要が急増したエリアに迅速に中古車を供給できるようになるなど、被災地支援としても活用できる。

少子高齢化などによって新車市場の縮小が避けられない中、中古車ビジネスによる収益拡大、管理保有台数の底上げに注力するディーラーが少なくない。一方、日本からの中古車輸出が拡大したことで、国内での取引価格は仕向け地となる海外の動向に大きく左右されるようになった。

コロナ禍によって海外がロックダウン(都市封鎖)した昨春には輸出が停滞し、国内での流通価格も急落。ディーラー経営にも影響を及ぼしている。こうした中、ディーラー間の新たな流通ルートによって販路が拡大することは、会員の中古車ビジネスの安定化につながる可能性もありそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞1月20日掲載