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2021年1月20日

日刊自連載「回顧2020」(4)用品市場

2020年の用品市場は、コロナ禍の中でも底堅さを示した。カスタマイズ用品や洗車・補修用品が伸長したほか、ドライブレコーダーや後付けペダル踏み間違い急発進抑制装置など、安心・安全を支える各種用品も引き合いを強める。

新車市場ではCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の動きが広がるが、国内保有台数の大半を占めるのは既販車。マイカーを安全かつ快適に乗り続けたい既販車ユーザーのニーズに応え、例年と同水準の市場規模で着地する見通しだ。

19年10月の消費税増税の余波も残る中、20年の用品小売りの現場は2年連続の暖冬という逆風の中でスタートした。暖冬で冬タイヤへの履き替えが鈍ったことで夏タイヤへの履き戻しも低調に終わり、取り付け工賃や他商品の販売も減収。各社は苦しい立ち上がりとなった。

その最中に直撃したのがコロナ禍だ。緊急事態宣言の発令や外出自粛要請を受け、一時は用品店でも客数が減少した。それでも、用品店は感染対策を講じながら営業を継続。

打撃が最も大きかった4月でも売上高は前年比約2割減(自動車用品小売業協会調べ)に留め、オイルやバッテリーなどの定期交換商品を抱える用品業界ならではの強みを示した。

生活様式の変化をいち早く反映して市場回復につなげたのも用品業界だ。7月以降、客数は増税前駆け込み需要の反動減が生じた9月を除く全ての月で増加している(同)。

小売り各社は、感染リスクの低い移動手段として自家用車が見直され、車両取引が活発化したことを来店回復の要因に挙げる。既販車の乗り心地を改善する手段として、汎用性に優れる市販商品は間口が広い。廉価で短納期な中古車を皮切りに市場が復調し、用品業界にも追い風が吹いた格好だ。

カスタマイズ用品や洗車・補修用品も、ユーザーがマイカーのケアに費やせる時間が増えたことで売り上げを伸ばした。足元では、大雪に伴う関越自動車道の不通などが大きく報じられている。各社はこうした事例を材料にタイヤ交換の必要性を訴求し、冬商戦でさらなる挽回を図る。

底堅さを見せた用品業界にあって、販売の柱は引き続きドライブレコーダーだ。4~6月は5四半期ぶりに国内出荷台数が100万台を割ったものの、7~9月は135万台で、統計を開始した16年度以降では最高となった(電子情報技術産業協会・ドライブレコーダー協議会調べ)。

6月末に施行された改正道路交通法であおり運転等が厳罰化されたことが背景にあるとみられ、メーカー各社は今後もしばらく市場成長が見込めるとの判断を示す。

機能面では通信型がトレンドとなった。11月にはパイオニアが市販品として初めて緊急通報機能を備えた通信型レコーダーを発売。JVCケンウッドも同月、共同開発したNTTドコモを通じて通信型レコーダーの市販市場に参入した。

緊急通報や先進運転支援システム(ADAS)、車両運行管理など、事故映像の記録にとどまらない新たな使途を提案する通信型レコーダーは、販売面でも月定額(サブスクリプション)など新たな手法を取り入れる。

同様の商品は損保各社での導入が進むが、市販でも普及すればユーザーの選択肢がいっそう広がると期待される。

ドライブレコーダー同様、既販車にも装着できる安全用品として普及したのが後付けペダル踏み間違い急発進抑制装置だ。3月には満65歳以上のドライバーを対象に装置購入額を補助する「サポカー補助金」の申請受け付けがスタート。

新車メーカーだけでなく部品・用品各社からも、国土交通省から性能認定を受けた商品が続々と登場している。同制度は20年度末での終了を予定していたが、コロナ禍による周知の制約もあり予算消化が未了に終わったことから、21年度も交付を継続することが決まった。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞12月26日掲載