会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2021年1月19日

日刊自連載「回顧2020」(3)整備業界

新型コロナウイルスの感染拡大は、2020年の整備業界に大きな影響を与えた。4月の道路運送車両法改正で、新たに「特定整備」制度がスタート。

本来ならば電子制御装置整備の認証取得に向けて機運が盛り上がるはずだったが、全国各地で行われる予定だった整備主任者資格講習の延期が相次いで認証取得者数は伸び悩んだ。

コロナ禍でも車検需要は堅調に推移したが、外出自粛に伴ってマイカーの走行距離が減少したことで、事故修理など板金整備の入庫台数は落ち込んだ。

20年1~10月累計の車検台数は前年同期比3・1%減の1754万2551台だった。一方で、先進運転支援システム(ADAS)搭載車両増加に伴い、事故発生件数は減少し続けている。

ステイホームによって入庫台数の減少傾向に拍車がかかり、車体整備事業者を取り巻く環境は厳しさを増している。

特定整備制度では、将来的な自動運転車の点検・整備を見据え、新たにADAS搭載車のエーミング(機能調整)作業などを実施する「電子制御装置整備」が新たに導入された。カメラやレーダーが装着されたグリルやフロントガラスの脱着作業も対象となる。

施行から半年の10月末時点における電子制御装置整備の認証取得事業者数は2332件。資格講習の延期に加え、対象車種が少ないことから認証取得を様子見する事業者が多いことも影響している模様だ。

21年10月(輸入車は翌年)には衝突被害軽減ブレーキなど先進安全装備の装着が義務化されることで、対象車種は拡大する見通しだ。

エーミングをビジネスチャンス拡大に生かす動きもある。2月に設立した日本技能研修機構(JATTO、石下貴大代表理事)は、24年までに全国に最新鋭の設備を備えた「AC(エーミングセンター)」を500カ所整備する計画だ。

緊急事態宣言期間中の休校で、自動車大学校・整備専門学校は混乱を見せた。特に影響が大きかったのは4月入学の新入生で、入学式や担任、級友と顔合わせする機会がないままに授業が始まった。

各校ともオンライン授業や課題提出で補ったが、学校に慣れる以前に休校となっただけに学生へのケアが課題になった。

在校生も整備士資格取得に向けた学習、就職試験に対する準備の面で休校のマイナス影響は大きかった。各校とも実技では難しいものの、テストや講義にオンラインを活用する動きが加速している。

コロナ禍で、入学者募集活動を制限されたことも自動車大学校・整備専門学校にとっては痛手だ。3密を避けるため、例年行っている集合参加型のオープンキャンパスや説明会の参加人数、開催回数を限定せざるを得なかった。

少子化や若者のクルマ離れなどを背景に入学者数の減少傾向が続く中、コロナ禍が逆境に追い打ちをかけた格好で、来春の入学者数を従来計画通りに確保できる見通しの学校は少ない。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞12月25日掲載