2020年12月25日
国交省検討会 路線バスで車いす「固定」重要性周知
国土交通省「路線バスに係る車いす事故対策検討会」がこのほど開かれ、事業者やメーカー向けの車いす固定の重要性を紹介したコンテンツ制作や利用者への周知などを速やかに実施していくことなどが了承された。
同省自動車局安全政策課によると、2017~19年までの3年間で、11日以上の治療を要する車いすの路線バス乗客の事故は12件報告があり、このうちの9件は「固定不十分」が理由だった。
車いすは、メーカーや使用目的(一般用、スポーツ用)などで固定箇所が異なり、研修を受けている運転者でも固定に戸惑うことがある。固定作業に時間がかかることで、使用者や他の乗客からクレームが入ることもあり、固定の理解が不十分との指摘もある。
同検討会では、事業者・利用者・車いすメーカーの理解を深める必要があるとして、動画などのコンテンツを作ることが提案された。さらに、関係者間の情報共有、事故実態の把握などを進めていくことも了承され、報告書に盛り込まれた。
これらの対策は、21年度からの次期「事業用自動車総合安全プラン」に取り入れることになっている。
バス車両には固定装置設置が義務化されているが、装置を使うことは義務ではなく、国の「指導」に留まっている。
また、車いすの乗降がしやすいノンステップバスは18年度末の時点で、全国の全路線バス台数(4万6872台)の58・8%(2万7574台)に達しているが、都市部では普及しているものの、地方では普及が遅れている。
同検討会の委員は、学識経験者や事業者団体、障害者団体の関係者で構成する。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
---|---|
対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞12月21日掲載